請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 1644 件名 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業における公正な賃金・労働条件の確保に関する請願
要旨  二〇一一年三月に発生した東日本大震災は未曽有の被害と原発事故をもたらし、避難者はいまだに住み慣れた地に戻る目途すら立っていない。二〇一六年四月には熊本地震が発生し、大きな被害をもたらしている。また、全国各地で台風の大雨による堤防決壊など広範囲に浸水被害をもたらしている豪雨や、戦後最悪の被害をもたらした御嶽山を始め、口永良部島の新岳、箱根山、阿蘇山の噴火など、全国各地で災害に見舞われ、日本は災害列島と呼ばれるほど、どこで暮らしていても自然の脅威にさらされている。東海・東南海・南海地震や首都直下地震などの大規模地震も切迫しており、国民の安全・安心を守るための防災やインフラ整備は緊急な国民的課題となっている。こうした災害を未然に防止・軽減するためには、河川・道路・港湾などの社会資本の維持管理やその役割を担う地域建設業の役割が欠かせない。二〇一二年十二月に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故に見られるように、現在の社会資本は、戦後の高度経済成長期に多くが建設され、老朽化が著しく、放置すれば国民生活の安全・安心に影響を及ぼしかねない。耐用年数が経過した施設の更新には年間約二十兆円もの費用が必要とされ、財政難の中では、今後計画的な維持管理を施して新規構造物よりも既存施設を維持・保全していく方向に公共事業を転換させる必要がある。同時に、防災や施設の維持管理の最前線に立つ地域建設業をその担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、建設産業の置かれている低賃金や労働条件の劣悪さから、入職者は減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。企業の存続や技術の継承、建設労働者の確保困難などに対応するため、いわゆる建設産業の担い手三法が制定されたが、最前線で働く労働者の適正賃金確保や労働環境改善には至っていない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、公正な賃金・労働条件と中小業者の適正な収入・仕事を確保すること。
 1 公契約法(公共事業における賃金等確保法)を制定すること。
 2 建設現場労働災害、じん肺・アスベスト被害の発生を抑えるために予防・防止対策を強化すること。また、不幸にして被災した患者を速やかに救済すること。
 3 建設業及び建設関連業の各業種を労働者派遣法の適用対象としないこと。

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