請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 163 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  現在、私立大学・短期大学(以下「私立大学」という。)には、大学生・大学院生全体の約七五%に当たる約二百二十五万人が学び、日本の高等教育をリードしている。しかし、私立大学の学費は極めて高く、多くの学生が学費負担と生活費負担にあえぎながら学んでいる。私立大学は公教育機関であり、教育の受益者は社会全体である。そのための費用は、社会全体が負担すべきである。高等教育を含め全ての教育は、本人負担によらず無償であるべきである。政府は、二〇一二年、国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項を受け入れる決定を下した。政府は、速やかに具体的・総合的な政策を立案・実施すべきである。そして、完全無償化が実現するまでの間、政府は、責任を持って学生の学費負担を軽減するための可能な限りの施策を打ち出すべきである。特に、給付奨学金制度の創設は喫緊の課題である。OECD加盟三十四か国のうち三十二か国が給付型奨学金制度を有している。授業料が高額な上に公的奨学金が貸与制のみという先進国は日本だけである。あわせて、私立大学と国公立大学との間に存在する余りにも大きな不公平を速やかに解消すべきである。国から私立大学への補助額は、学生一人当たり僅か十四万円である。これは、国立大学百八十万円の十三分の一にとどまり、学修環境に明らかな格差をもたらしている。一九七五年に私学振興助成法が制定された際、参議院は、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するとの附帯決議を行った。しかし、実際には年々縮減され続けてきた。補助率は、一時二九・五%(一九八〇年度)に達したが、現在は僅か一〇・一%(二〇一四年度)にまで落ち込んでいる。このような補助状況の中で、私立大学はやむを得ず学費の値上げによって対応せざるを得なかった。その結果、私立大学の学生納付金は国立大学の約一・六倍にも上っている。このような格差をこれ以上放置するべきではない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、学生の学費負担を軽減するため、以下の施策を速やかに実施すること。
 1 大学生への給付奨学金を新設すること。
 2 高校生に実施されている「就学支援金制度」を大学生に拡大すること。
 3 無利子奨学金を希望者全員が受給できるようにすること。
 4 奨学金の返済について、低所得者層に配慮すること。
二、大学の学費無償化に向けた計画を速やかに立案し、実施すること。
三、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう、国庫補助を増額すること。

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