請願

 

第192回国会 請願の要旨

新件番号 761 件名 国民が安心して暮らせるための社会保障制度の確立に関する請願
要旨  急速な少子高齢化社会の流れにあって、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年度には、社会保障給付費は百五十兆円に迫ると推計(厚生労働省発表)されている。社会保障給付費は、二〇一三年度に既に百十兆円となり、二〇一四年度は百十五兆円を超えると見込まれている。政府は、こうした状況に将来的に対応するため、二〇一一年に社会保障と税の一体改革をまとめ、その中長期的な道筋となる二〇一三年末に成立したプログラム法案に沿って実行段階に移った。この法律の工程表により、消費税率の二〇一四年四月から八%への引上げとともに、七十歳から七十四歳の医療費の自己負担の二割負担への段階的引上げが実施された。また、医療や介護保険など地域包括システムや利用者負担の公平化を理由に負担増や介護サービス受給の基準の引上げなどが二〇一五年より実施された。新たな負担増とサービスの切下げとなる項目が多く盛り込まれている。これらの内容を見ると、社会保障と税の一体改革に示された「必要な社会保障の充実・機能強化を確実に実施し、同時に社会保障全体の持続可能性を確保するため」とした基本的な考え方からは後退し、公的給付の削減と国民負担増の道に進むのではないかという不安を抱かざるを得ない。今、学校で働く教職員は、複雑化する社会・地域の中で多様化する子供たちと向き合い、いじめや不登校の問題等、多くの困難な教育課題に取り組み、多忙の中で奮闘している。教職員が一人一人の子供と向き合う時間を確保するためには、教職員定数の改善を図る等、安心して職務に専念できる環境を整えることが不可欠である。それだけに国の社会保障制度の行方には大きな関心を持たざるを得ない。子育て支援は、未来社会への投資であり、少子化対策の上でも重要である。そして、退職後を含めた医療・介護・年金制度の充実を持続可能な制度として確立することは、老後を安心して暮らすために極めて重要なことである。そのためにも女性の雇用促進・労働環境の整備と未来の担い手である若者の就労保障等、生活の安定を図るための政策を緊急に進める必要がある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国民の安心、安定した暮らしを保障するため、「社会的セーフティネット」としての年金・医療・介護等の社会保障制度と国庫負担増を含めた持続可能な財政基盤を確立すること。
二、子育て支援や女性と若者の就労保障の政策の実現と高齢者の社会参加を含めた安心して暮らせる充実した社会保障制度を確立すること。

一覧に戻る