請願

 

第190回国会 請願の要旨

新件番号 1205 件名 TPP協定を批准しないことに関する請願
要旨  二〇一六年二月四日、TPP協定(環太平洋経済連携協定)の調印式が行われた。その僅か二日前に協定文と附属書(邦訳)が公表されたが、政府は、この膨大な協定文をまともな検証も議論も保障しないまま僅かな日程で批准しようとしている。安倍内閣は、主食である米にTPP輸入枠を新設、牛肉・豚肉の関税の大幅引下げなど重要農産品での関税削減や輸入枠の拡大を受け入れたにもかかわらず、関税撤廃に例外をつくったから国会決議は守ったと強弁している。国会決議は、主要農産品について交渉から除外又は再協議を求めている。しかも、米粉調整品、一部加工品等重要農産物の三割で関税を撤廃し、農林水産物全体では八一%の関税撤廃を受け入れるなど、農業生産や地域経済に甚大な影響が及ぶのは必至である。また、協定には、三年以内に見直すことや、関税撤廃に除外規定はなく、農産物輸出国からの要請で七年後以降は関税の撤廃に向けた再協議に応じることも義務付けられていることが分かった。さらに、農業だけではなくあらゆる分野でグローバル企業の利益が優先される仕組みとなっている。国有企業や協同組合分野でも企業との公正な競争条件の確保が求められかねない。また、ISDS条項による主権侵害、薬価の高止まりなど医療分野での営利主義強化、食の安全侵害や食品表示緩和など、各界から表明されている懸念は何ら解決されていない。安倍首相は、「TPP断固反対、うそつかない、ぶれない自民党」という選挙公約も国会決議も無視して合意しながら、最善の結果を得ることができたなどと成果を誇っている。この姿勢は、戦争法と同様、国民世論を無視した民主主義と相入れない独裁政治そのものであり、到底許されるものではない。このように、TPP協定は、人々の命や暮らし、地域経済だけでなく、人権や主権をも脅かすという内容の上でも民主主義を侵す手続の上でも到底認められない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国会決議に違反するTPP協定の批准は行わないこと。

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