請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 2835 件名 全国一律最低賃金制の実現に関する請願
要旨  二〇〇七年の最低賃金法改正で第九条に生活保護と最低賃金との整合性が盛り込まれ、最低賃金の改定額はそれまでの数円から二桁台に引き上がった。二〇一〇年六月の雇用戦略対話では、二〇二〇年までの目標としてできる限り早期に全国最低八百円を確保し全国平均千円を目指すことが明記された。しかし、二〇一四年に八百円に到達したのは五都府県であり、全国加重平均は七百八十円である。多くの非正規雇用労働者が人間らしい生活ができない低賃金に置かれているだけでなく、地域間格差も年々拡大し時間額で二百十一円にまで広がり、地域の疲弊を招いている。地域からの労働者の流出に歯止めをかけ公正取引ルールを実現するためには、金額の抜本的な引上げと全国一律最低賃金制度の創設が必要という声が広がっており、現行法での地域別最低賃金制度の制度的限界が指摘されている。最低賃金法第九条には、最低賃金の原則として労働者の生計費や賃金に加え、海外で余り例のない通常の事業の支払能力が併記されている。そのため、都道府県ごとの一就業者当たり年間販売額や年間事業収入額なども判断要素とされ、労働者の生計費を無視した低額の最低賃金と地域間の賃金格差が固定・拡大されている。中小零細企業、非正規労働者の賃金を底上げして労働者の生活を守り地域経済を活性化させるには、全国一律最低賃金制の確立など最低賃金法の抜本的な改正が必要である。

 ついては、最低賃金法を次のとおり改正されたい。
一、労働者の生計費原則に基づいた「全国一律最低賃金制度」を早急に実現すること。
二、最低賃金法の「支払能力」に関する規定を削除すること。
三、最低賃金は、時給表示だけでなく、日額、月額を表示すること。

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