請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 2109 件名 全国一律最低賃金制度の確立と時間額千円以上の最低賃金実現に関する請願
要旨  雇用労働者の約四割が非正規雇用になり、労働者の四人に一人が年収二百万円以下のワーキング・プアである。低賃金で不安定な仕事にしか就けず、結婚、出産・育児ができない人が増え、少子高齢化がますます進行し、社会基盤を硬直化させている。その上、大震災の被災地の復興や生活再建も進んでいない。政府は経済の好循環を実現するには賃金の引上げが必要と言いながら、地域別最低賃金は最も高い東京で八百八十八円、鳥取、高知、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄では六百七十七円である。フルタイムで働いても、月十万~十三万円の手取りでは、健康で文化的な最低限の生活はできない。しかも、地域間の格差が二百十一円に拡大したため、労働力が地方から都市部へ流出し、地域経済を疲弊させている。地方・地域を再生させる上でも地域間の格差の是正と最賃水準の大幅な引上げが絶対に必要である。「できる限り早期に全国最低八百円を確保し、二〇二〇年までに全国平均千円を目指す」とする政労使の合意による雇用戦略対話に基づいて最低賃金を大幅に引き上げることこそ、消費購買力を確保し、地域経済と中小企業の経営を発展させる道である。日銀による異次元の金融緩和で株価は上がり、大企業の内部留保は増えたが、実質賃金は下落し続けている。真の経済再生を実現するには、中小企業への経営支援と下請単価の改善を図り、最低賃金を引き上げることが必要である。人間らしく生活できる金額の最低賃金を基本に生活保護基準・年金・下請単価・課税最低限などを整備すれば、誰もが安心して暮らせる社会をつくることができる。
 ついては、二〇一五年の最低賃金改定に当たり、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金の地域間格差をなくし、全国一律の最低賃金制度の創設を目指すこと。
二、速やかに時間額千円以上に引き上げること。
三、最低賃金額は、時間額だけでなく、日額、月額も明示すること。
四、最低賃金審議委員の任命について、特定のナショナルセンターに偏らない任命を行うこと。

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