請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 2043 件名 巨大防潮堤より避難道を求めることに関する請願
要旨  東日本大震災津波以降、地震が活発化しており、今後予想される南海、東海地震等による大規模津波災害から地域住民はもとよりビジネスや観光などで沿岸部を訪れる人の命を守るため、沿岸防災減災対策は喫緊の課題である。被災地など全国の沿岸部では巨大防潮堤計画が進んでいる。その一方で、子供やお年寄り、恐怖で動けなくなる人などの避難困難者でも安全に避難させることができる避難道などの事業は十分とは言えない。例えば、気仙沼市では防潮堤建設計画は七十六か所であるが、自動車で浸水域から高台へ逃げることができるいわゆる避難道事業の計画は三本のみである。防潮堤の建設完了には最低でも数年掛かることから、これらの整備は急務である。巨大防潮堤は海を見えなくして、油断を生み、避難の開始を遅れさせる懸念が指摘されている。巨大防潮堤計画は、国の宅地買取り対象となる災害危険区域の縮小につながるため、家が全壊でも買取り対象から外れた被災者の安全な高台などでの自主再建をますます困難にしている。また、生態系の分断による自然資源の劣化を惹起(じゃっき)し、産業再建、持続可能な総合防災対策への影響も懸念される。気仙沼市では防潮堤建設計画七十六か所のうち後背地が無人や住宅が数軒のみの場所は三十二か所もあり、費用対効果や継続的なメンテナンスの面からも巨大防潮堤建設優先の防災計画に疑問が出されている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、避難困難者でも安全に逃げられる渋滞しない避難道などを国が責任を持って優先して整備すること。
二、巨大防潮堤計画を見直すこと。海が見えないため油断を生み、逃げ遅れによる死亡増加の原因にもなるなど、安全性の矛盾を検証し、巨大防潮堤計画が貴重な海辺の環境に及ぼす影響を検証し、被災地の産業再建、世界に誇れる自然資源の保全を考慮した、持続可能な総合防災対策を策定すること。

一覧に戻る