請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 2042 件名 じん肺とアスベスト被害根絶に関する請願
要旨  じん肺は最古にして今なお最大の職業病である。一九六〇年にじん肺法が制定されてから半世紀以上が経過したが、いまだに三千人を超えるじん肺有所見者が認定されており、毎年新たに三百人以上が最重症患者として認定されている。石炭じん肺やトンネルじん肺など国の加害責任は判決によって明確になっている。ILO(国際労働機関)・WHO(世界保健機関)は、遅くとも二〇三〇年までの世界中からのじん肺根絶の実現を提唱している。日本も、一刻も早くじん肺法の改正を含む抜本的な制度改革に取り組むことが強く求められている。アスベストは、じん肺の原因となるだけでなく、強い発がん性を有することが明らかとなっていたが、国が十分な対策を取らなかったため、多数の被害が発生している。労働安全衛生法施行令改正により二〇〇六年に石綿使用等が原則禁止となったが、今後もアスベストを使用した建物の改修、解体工事等による大量の被害発生が危惧される。二〇〇六年三月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」は、二〇一〇年七月に救済対象となる指定疾病が拡大されたが、中皮腫と肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚の四つに限定され、救済給付金も労働者災害補償保険法や公害健康被害補償法に比して低額に抑える等不十分な内容のままである。じん肺やアスベスト被害者を早急に救済するための基金制度の創設、取り分け被害者が多発しているトンネルじん肺、建設アスベスト被害の基金の創設は急務である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、じん肺法施行後六十年近い歳月を経た今もなお、じん肺が発生し続けていることを踏まえて、じん肺根絶に向けたじん肺法や関連法令の改正を行うこと。
二、トンネル建設労働者の就労などを一元的に管理し、じん肺被災者の早期救済を図る「トンネルじん肺基金」を創設すること。
三、建設アスベスト被害者補償基金を早急に創設すること。

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