請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 1702 件名 日本政府が慰安婦問題で河野談話が明らかにした歴史の事実に向き合い、解決を急ぐことに関する請願
要旨  日本軍慰安婦問題は女性の人権、人間の尊厳を回復する課題であり、その解決は被害女性の高齢化の中、待ったなしである。しかし、日本政府は請求権の問題は解決済みとの立場を取り続け、強制性はなかったと主張する安倍晋三首相の下で、政権内から河野談話の見直し論や政治家・NHK会長など公人による慰安婦問題を含む侵略戦争の事実を否定する発言が相次ぎ、ヘイトスピーチが横行するなど事態は一層深刻化している。この点で、第一次安倍政権による政府答弁書(二〇〇七年三月)の「強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」との記述が河野談話見直しを主張する人々によって強制連行はなかったとする根拠に利用されていることは重大である。河野談話は、(一)慰安所と慰安婦の存在(二)慰安所の設営、管理等への軍の関与(三)本人の意思に反した強制性(四)慰安所での強制使役(五)植民地にされた朝鮮半島出身者への強制性という事実を認めたものである。国際社会では、日本軍慰安婦問題は性奴隷制と呼ばれる女性の人権侵害として、国連女性差別撤廃委員会を始め国際機関、EU議会やアメリカなど各国政府が日本政府に公式謝罪と賠償、教育による再発防止などを求める勧告や決議を再三行い、アメリカ国内でも責任を問う動きが広がっている。慰安婦問題の否定は、世界の流れに逆行し、アジア諸国はもちろん世界の人々との信頼構築を阻害するものである。
 ついては、日本政府が慰安婦問題の事実に真摯に向き合い、一日も早く被害女性が求める方向での解決を行うよう、次の事項について実現を図られたい。

一、「慰安婦」問題での二〇〇七年政府答弁書を撤回し、「河野談話」への攻撃に反論すること。
二、日本軍「慰安婦」問題の法的解決を急ぎ、公式謝罪と補償を行うこと。

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