請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 284 件名 タクシー適正化・活性化法等の一部改正法並びにその附帯決議の早期履行に関する請願
要旨  平成二十六年一月、タクシー適正化・活性化法等の一部改正法が施行されたことにより、全国百五十五の営業地域でタクシー地域協議会の意見を経て、同年四月より消費税増税分を含めた公定幅運賃の適用が始まった。旧法で指定されていた特定地域は改正法の下、全てが準特定地域とされ、その後の作業で特定地域指定要件が公表され、昨夏頃には国土交通省から大臣認可を受けた上で順次新たな特定地域が指定されることとなっていた。しかし、改正法施行から一年が経過しても特定地域指定はされなかった。この改正法の趣旨・目的は、劣悪化して久しいハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善を根拠として運賃・台数の適正化と、そのことにより運転者年齢構成の若年化を図ることによる活性化に寄与し、利用者へのサービス・利便性を向上させるというものである。この改正法をほとんど現場に反映させることなく、実効性に疑念を抱かせる国土交通省の取組には、強いふんまんを抱かざるを得ない。また、政府の規制改革会議から国土交通省に対して特定地域指定に当たっての恣意的な干渉があった。それは、特定地域指定に当たっては現行の準特定地域車両総数の半分以下の車両数に抑えた上で地域を限定することという内容となっている。立法府で業界の維持、発展を期するため成立させた法律並びにその附帯決議に時の政権が恣意的に人選した人で構成する規制改革会議が介入し、監督行政や業界を混乱に陥れる言動は断じて許せるものではない。ハイヤー・タクシーで働く労働者は、競争政策の中で十三年間過酷な生活を強いられてきた。地域公共交通であるタクシーにおいては、特異な産業形態や賃金構造などから見ても、競争原理からなる規制緩和がそぐわないのは十分証明されている。これ以上改正法の不作為を繰り返さず、業界の維持・健全化、利用者の公共の福祉・利便のため粛々と法にのっとり、ハイヤー・タクシーで働く労働者の労働条件改善を早急に進展させる環境づくりを強く要請する。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、タクシー関連法を一部改正する法律並びにその附帯決議の早期履行をすること。
 1 全ての地域協議会で、適宜協議会開催ができること。
 2 準特定地域並びに特定地域の指定基準の中に営業区域の人口制限を入れず、また、日車営収に代わって労働者の平均賃金を基準にすること。
 3 労働者の平均賃金が下降した場合は、新たに準特定地域若しくは特定地域に指定すること。
 4 消費税増税後の運賃転嫁にもかかわらず、公定幅運賃の下限が旧法時の自動認可運賃より下回ったことによる逆転現象を是正させるため、監督官庁より通達を含めた強い指導をさせること。
 5 運転者の賃金・労働条件向上が利用者利便に直結することに鑑みて、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制度の廃止、運転者負担の見直し、過度な遠距離割引運賃の是正等、賃金制度の改善を事業者に指導すること。
 6 過度な遠距離割引を公定幅運賃の対象とすること。
 7 労働条件の改善が前提である改正法の趣旨に照らし、タクシーにおける初乗り距離短縮運賃を安易に認めさせないこと。
 8 規制改革会議の介入に対して国土交通省は、安全・利便を監督する省庁の責務として、断固たる姿勢で対応すること。
 9 「タクシー事業適正化法」改正により十月から始まるタクシー運転者の登録制度開始に合わせ、適正化事業実施機関へ運転者団体から役員又は委員として参画できるようにすること。,

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