請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2504 件名 スーパー堤防事業の即時廃止に関する請願
要旨  スーパー堤防事業は、一九八七年の制度創設以来七千億円もの税金が投入されながら、二〇一二年の会計検査院の調査では、一・一%の進捗率にすぎないことが明らかになった。実際、造られたスーパー堤防を見れば、ハコモノやマンション、商業施設などの土台であったり、公園やスポーツ施設であったり、その配置に治水効果があるのか甚だ疑問のものが多く、そもそも川に対して点の規模でしかない。堤防は線でなければ治水には役に立たない。将来的につながる見込みもないどころか、治水を口実にしているだけでつなげる気もない事業である。それはまちづくりと一体にならなければ事業を行わない姿勢からも明らかで、このことが進捗率を極めて低いものにしている。たとえ治水事業が必要な場所であっても、まちづくりと一体にできないところはいつまでも後回しである。さらに本事業は、事業計画地の住民や企業に犠牲を強いる事業である。スーパー堤防はまち側の堤防の斜面を堤防の高さの三十倍まで広げるために、その範囲にある建物は盛土をする前に全て取り壊される。工事完成後はその斜面上に住民や企業が戻るまちづくりが行われるとされているが、従前のまちの歴史も文化もコミュニティも壊され、戻る人も企業も半減するのが実態である。加えて、堤防は老朽化するものであり、これまで修繕・改良がなされ、治水上の理由から堤防の上に建物を建ててはいけないとされてきたが、スーパー堤防だけはそれが認められ、結果的にメンテナンスが利かなくなっており、逆に安全性が保てるのかどうか危惧する。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、広範な盛土をするために住民や企業に立ち退きを強い、まちの歴史も文化もコミュニティも壊すスーパー堤防事業を即時廃止すること。
二、つながらなくては効果がなく、つなげるには途方もない期間と費用を要することから、事実上完成不可能なスーパー堤防事業に巨額の税金を投入しないこと。

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