請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2185 件名 海洋の環境と国民生活を守る事業の体制拡充に関する請願
要旨 　日本は四方を海洋に囲まれていることから、全国各地で港湾が整備され、国民生活向上や経済成長に大きく寄与してきた。今日も全国各地の港湾を拠点に国内外の海上交通運輸によって人流・物流が行われ、輸出入においては九九％が港湾を経由しており、国民生活向上や経済成長する上で重要な役割を果たしている。一方、近年、地球温暖化に伴う異常気象の多発や台風などによる豪雨、強風によって全国の航路や湾内には大量の海面浮遊ごみが漂着し、船舶の航行安全を脅かす事態も多数発生している。また、一九九七年の日本海でのナホトカ号、東京湾でのダイヤモンドグレース号の油流出事故を始め、コンビナート事故や船舶の衝突・海難事故も頻発している。海洋に流出した油は、船舶の航行だけでなく、海洋や大気への環境汚染はもとより人体への影響や漁業関係者、地域経済にも大きな打撃を与えるものである。こうした船舶の海上交通の安全を維持し、海洋での豊かな自然環境を次世代に継承していくためにも、海洋の環境を守るとともに、そのことにより国民生活を向上させていくことは国としての重要な役割である。この役割を果たすために海洋環境整備事業の実施体制の充実・拡充が重要となっている。また、東日本大震災では津波被害により陸上交通網が失われ、沿岸被災地の住民への支援物資の緊急輸送などで改めて海上輸送の重要性と港湾機能の早期復旧の重要性が明らかになっている。このように非常災害時における船舶輸送を可能とする航路の啓開作業についても国の責任での対応が必要であり、国民の安全・安心、そして生活を守るための事業の体制拡充が喫緊の課題となっている。
　ついては、国民生活向上や経済成長のためにも海洋環境整備事業を充実させるとともに、大規模災害時における緊急支援物資の輸送や港湾機能を維持するため、次の事項について実現を図られたい。

一、海洋の環境と船舶航行の安全を守る、海洋環境整備事業を国の役割として充実すること。
二、非常災害時に国民生活を守るため、緊急支援物資の輸送や港湾機能の維持・早期復旧を行う国の防災体制を拡充すること。
三、海洋環境整備事業と災害時の港湾機能の維持・復旧のため、国の役割を担う船舶の運航は国の正規職員による体制確立を行うこと。

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