請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2168 件名 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化に関する請願
要旨  就業構造調査(総務省)によると、二〇一二年の非正規労働者数は二千四十三万人(三八・二%)で、ついに二千万人を突破するなど過去最高となっている。また、若年者に関わっても、二十歳から二十四歳の非正規雇用者は四四・五%であり、二十四歳以下の失業率も六・五%(全体は四・〇%、二〇一三年十月、総務省労働力調査)と他世代よりも高い水準で推移している。労働者が置かれている状態にも厳しいものがある。二〇〇九年度から二〇一二年度における労働基準法等の違反率は六〇%台後半で推移し、労働者の権利が十全に守られていない状況が続いている。また、二〇一三年九月に実施した「若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する電話相談」では、千四十二件の相談が寄せられ、その後の臨検監督(五千百十一事業場)で八二・〇%の違反があったことが明らかになっている。このように、労働者・国民の雇用不安の解消や労働条件をめぐる諸課題の解決は喫緊の課題となっている。しかし、二〇一三年四月には労働行政の職員が二百十八人削減され、必要な雇用対策を執行するに見合った人員の確保を困難にしている。労働基準監督官は、労働関係法令に基づいてあらゆる事業場に立ち入り、法令に定める最低基準を事業主に守らせる業務を担っている。しかし、第一線で監督業務に従事する労働基準監督官は全国で二千人に満たず、六百万とも言われる事業場をつぶさに監督することが困難な状態となっている。労働者の権利を確保するためにも、労働基準監督官の増員による労働関係法令遵守の徹底が求められている。また、多くの求職者に寄り添ったきめ細かな職業相談を実施するため、あるいは、セクハラやパワハラ等の人権侵害に対応するためには、公共職業安定所や労働局の人員が決定的に不足している。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。 

一、労働統計指標の多くは改善傾向を示しているものの、求人状況は非正規雇用、低賃金が多数を占め、再就職の困難性の改善には程遠い状況にある。働く人々の雇用環境も深刻で、労働基準監督署における臨検監督は六〇%台後半の高い違反率で推移し、セクハラやパワハラといった人権侵害も後を絶たない。こうした中、労働者・国民の良質な雇用の確保・安定、適正な労働条件の確保・向上を図ることが強く求められている。ILO条約や日本国憲法の趣旨にのっとり、労働者・国民のナショナルミニマムを十全に保障するための国の責任を明確にするとともに、労働行政体制を整備・強化することが必要である。
 1 東日本大震災からの復興対応を含め、労働者・国民の権利を保障するため、国が責任を持って雇用・労働施策を充実させること。
 2 大幅に増加する行政需要に対応し、労働者・国民の権利保障を図るため、公共職業安定所(ハローワーク)や労働基準監督署、都道府県労働局の体制整備を行うこと。

一覧に戻る