請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 1849 件名 気象事業の整備拡充を求めることに関する請願
要旨  二〇一一年三月に発生した東日本大震災は、死者・行方不明者を合わせて約二万人に及ぶ日本の歴史上最大規模の地震となった。また、二〇一三年七月には本州付近に停滞する前線の影響で、山口県や島根県、東北地方で一時間に百ミリを超える記録的な大雨による被害があった。加えて、八月に入り各地で気温が上がり、四国では観測史上一位となる四十一度を記録し熱中症による死亡者も多数出た。さらに、九月には竜巻により埼玉県や千葉県、栃木県などで人的被害や建物被害があった。こうした相次ぐ自然災害から人命を守るために更なる防災業務の拡充・強化が求められている。気象庁の業務は、気象や地震などを観測・監視し、観測の成果や現象推移の予測を適時・的確に広く周知することによって、災害を未然に防ぎ、軽減させることにある。阪神・淡路大震災から十年を期に二〇〇五年神戸で開かれた国連世界防災会議では、前年スマトラ沖で発生した大地震を教訓に「防災活動は国の第一義的責任において行われるべきもの」と決議されている。こうした中で、気象庁は、国民の期待に応えるべく、特別警報、緊急地震速報、噴火警報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、異常天候早期警戒情報などの発表を始めた。しかし一方で、職員数や事業予算は年々減らされており、特に地方気象台では情報の発表や自治体の対応に追われ、観測施設の維持管理や技術水準の確保にも苦慮する状況にあるため、体制の強化が求められている。また、気象の予報や防災情報になくてはならない気象衛星の打ち上げにも巨額の費用が掛かり、予算を圧迫している。過去の自然災害の教訓から、注意報・警報などの防災情報を高度化し活用していくためには、予報精度の向上にとどまらず、自然現象の確実な捕捉と防災関係機関への確実な情報の伝達、そして、利用者に対して十分な支援・指導ができることが必要であり、加えて、地域の産業や日常生活に役立つ気象情報についても国の直接的な責任で提供すべきである。また、近年、国際的な関心を集めている地球環境問題についても一層の体制強化が求められている。これらのことを実現していくため、自然現象の観測監視や調査研究、数値予報を始めとする技術開発など気象庁における基盤となる業務を充実・強化するよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国の直接の責任で、より精度の高いきめ細かな防災情報、暮らしや地域産業に密接に関わる気象情報が提供できるよう、気象事業全般の基盤を強化すること。

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