請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 1309 件名 障害者福祉についての新たな法制に関する請願
要旨  国連総会で障害者権利条約が採択されて七年余が経過した。条約の批准に伴って、障害のある人に関する政策がどのように拡充するのか、個々の生活水準の好転にどう結び付くのか、障害当事者や家族、関係者の期待が高まっている。例えば、条約第十九条には「全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有する」とあり、これが正確に履行されるだけでも日本の障害のある人の暮らしぶりは大きく変化し、精神障害分野の積年の課題である社会的入院問題についても解消されることになる。全国の事業所などを中心に障害のある人一万人以上を対象に実施した調査によると、九九%以上の人が年収二百万円以下、五六%の人が年収百万円以下にあり、家族の支援なしに地域生活が成り立たないという実態が明らかになった。また、こうした所得状況を補うはずの就労支援事業所での平均工賃は月額一万数千円にとどまっている。さらに、地域活動支援センターは地域生活支援事業であるために市町村格差が著しく、その多くは従前の小規模作業所と同水準に置かれている。なお、障害のある人の就労支援その他の障害福祉サービスの在り方については、障害者総合支援法施行後三年を目途とする検討事項の一つに掲げられており、踏み込んだ検討を期待する。障害のある人の地域生活を実質的に好転させるための手だては、障害者基本法第三条(地域社会における共生等)で示された「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」という観点等に沿って講じられるべきである。
 ついては、障害のある人の安全と安心の地域生活が確保されるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、障害者総合支援法は、「骨格提言」に沿って早急に改正すること。特に以下の点について見直すこと。
 1 障害に伴う必要な支援は、原則無償とし、これ以上負担をさせないこと。
 2 地域活動支援センターへの公費は、自立支援給付事業と同水準にすること。
 3 事業所に対する日割制度は、経営や支援を安定させる観点から改めること。
二、介護保険優先原則を見直し、本人の希望で必要な支援を選べるようにすること。
三、一人の市民として安心して暮らせるよう、障害基礎年金額を引き上げること。

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