請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 626 件名 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律に基づく厳格な運用並びにその附帯決議の履行に関する請願
要旨  ハイヤータクシー産業は、規制緩和政策の導入により、著しい供給過剰と熾烈(しれつ)な低運賃競争に陥り、タクシーを第一当事者とする事故の高止まり、駅周辺や夜の繁華街などで渋滞を惹起(じゃっき)させ、また、環境への悪影響をもたらし、地域公共交通機関の社会的使命というべき輸送の安全すら危機的状況となっている。安全輸送やサービスに直結する運転者の賃金・労働条件は、歩合制賃金中心の賃金体系であるため極限まで悪化し、長時間・過重労働を強いられながら生活保護支給基準を下回る事象も全国各地で生起している。このため、公共交通であるハイタク産業の疲弊・劣化した状況を食い止めるための応急処置として、二〇〇九年にタクシー適正化・活性化特別措置法が衆参両院で全会一致の下成立した。しかし、飽くまでも応急処置であったため、供給過剰は解消されず、規制緩和当初に認可された低額運賃の是正まで法は及ばず、熾烈な競争で運転者の賃金・労働条件の向上はかなわないままとなっている。二〇一三年十一月にタクシー適正化・活性化特別措置法ほかタクシー関連法の一部改正案が成立し、本年一月二十七日に施行された。この改正法により特定地域は強制減車措置が明文化されたが、指定されるのは全国の交通圏から見れば一握りの地域に限られる。また、準特定地域においては、改正前の強制を伴わない飽くまでも自主減車という内容のままであり、不安を残すこととなっている。一方、運賃に関しては、特定地域、準特定地域では公定幅運賃となり、その決められた範囲内でのみ運賃が認可されることとなった。この点に関しては前進したが、地域によっては運賃の大幅割引などに見られるように運転者負担の常態化が蔓延(まんえん)し、法の運用次第によっては現状が改善されない可能性を残している。
 ついては、ハイヤータクシーが安全・安心とともに利用者に信頼される公共交通として維持発展できるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」等の一部改正する法律に基づく以下の運用並びに附帯決議の厳格な履行をすること。
 1 全ての地域協議会で、運転者団体が参加を希望する場合は、「運転者を代表する者」として構成員に任命すること。
 2 四月から消費税率が八%に引き上げられることに伴い、特定及び準特定地域で増税分が転嫁された適正な公定幅運賃とすることとともに、その他の地域については増税分が適正に転嫁されるよう指導すること。
 3 運転者の賃金・労働条件向上が利用者利便に直結することに鑑みて、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制度の廃止、運転者負担の見直し、過度な遠距離割引運賃の是正等、賃金制度の改善を事業者に指導すること。
 4 公定幅運賃の除外対象としたハイヤーについては、タクシー業務適正化特別措置法第二条第二項で定めるハイヤーのうち、タクシーと同等の運賃を収受する距離制ハイヤーは除外対象としないこと。
 5 改正法における公定幅運賃制度の趣旨を没却させるおそれがあることから、割引運賃、割増運賃、定額運賃、及び旅客の運送の引受けが営業所のみで行われる一般乗用旅客自動車運送事業に関わる旅客の運賃全てを公定幅運賃から除かないこと。
 6 タクシー運転者の登録制度開始に合わせ、適正化事業実施機関へ運転者団体から役員または委員として参画できること。

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