請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 577 件名 子ども・子育て支援新制度に関する請願
要旨  子供は未来の希望である。どんな地域、家庭に生まれても、全ての子供は健やかに育つ権利を保障されなければならない。こうした子供の権利を保障するために、保育所はこれまで憲法第二十五条、児童福祉法第二条、第二十四条などに基づき、子供の成長・発達を保障する福祉施設として大きな役割を果たしてきた。子供の貧困率の上昇や子育て困難の広がり、また、東日本大震災や原発事故の復旧も進まない現状の中、全ての子供に福祉としての保育を平等に保障することがますます重要になっている。さらに、少子化にもかかわらず保育所の待機児童問題が社会問題になっている。一方、低過ぎる処遇が原因で保育士不足も深刻になっており、必要な職員がそろわないために施設が開設できない事態も起きている。ところが、政府はこうした緊急課題の解決を図ろうとせず、国と自治体が責任を負う公的保育制度を解体し、保育を市場に委ね、子供をもうけの対象にする「子ども・子育て支援新制度(新制度)」の検討を進めている。新制度は子供にとっての必要性と権利保障という視点からではなく、保護者の就労を基本に保育の必要性と必要量を認定し、保護者に対して直接補助(個人給付)をするものである。さらに新制度では、多様な施設・事業に、規制緩和も含めて多様な基準が認められることで、子供の保育に格差が生じ、保育環境が悪化することが心配されている。今、多くの保護者は安心して預けられる認可保育所を求めている。国と自治体の責任の下で、最低基準が守られ、公費による財源保障を基本とする現行保育制度を拡充し、認可保育所を増設していくことこそが必要である。全ての子供の成長・発達の権利が保障され、安心して保育・子育てができる制度の実現を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、「子ども・子育て支援新制度(新制度)」については、全ての子供の権利を保障する観点から、十分な論議と準備を行い、性急な実施はしないこと。
二、新制度の検討に当たっては、全ての子供に平等、かつ必要な保育を保障する観点から、施設及び事業によって、子供が受ける保育に格差が生じないようにすること。
三、新制度の実施に当たっては、現在保障されている保育の水準(保育基準、保育料、保育時間など)を後退させず、改善・拡充をすること。

一覧に戻る