請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 319 件名 領域警備法の制定に関する請願
要旨  平成二十四年八月、我が国固有の領土である尖閣諸島・魚釣島に香港の活動家らが不法に上陸した。この事態に対し我が国は、海上においては海上保安庁が、陸上においては警察が対応した。現行法においては、海上保安庁や警察では手に負えない事態が発生した場合、内閣総理大臣が海上自衛隊に対して海上警備行動を、陸上自衛隊に対しては治安出動を命ずることができる。ただし、その場合においても正当防衛以外の武器使用は認められていない。本来、主権防衛を主たる任務とする自衛隊に領域警備の任務と、それに必要な武力行使の権限が平素から付与されているべきであるが、残念ながら現在の自衛隊にはそれらの任務や権限が付与されていない。このことは、我が国の安全保障上の根源的な不備である。平成二十二年にも、尖閣諸島・久場島沖において中国の漁船が明白に領海を侵犯したにもかかわらず、それを取り締まる法律がないために、漁業法違反の取締りで対応した。こうした対応をとらざるを得ないのは、自衛隊や海上保安庁に領域警備の任務と、それに必要な武力行使の権限が付与されていないからである。不法に領海・領空に接近してくる者に対しては、警告を発し、警告に従わない者には警告射撃をし、警告射撃にも応じない者には、断固として武力行使を行わなければならない。こうした行為は、国際法(一九五八年ジュネーブ条約)においても認められている。しかし、現在の海上保安庁や自衛隊では、撃たれなければ撃てないという制約があるために、警告が警告になっていない。想定される事態として、大量の中国民間人が尖閣諸島に上陸し、そこに生活圏をつくり、この民衆を保護するという名目で人民解放軍が出動してくることも十分に考えられる。その場合、現在のように撃たれなければ撃てない海上保安庁や自衛隊では全く対応できない。そのとき、日本は尖閣諸島の実効支配を名実共に失うことになる。よって、速やかに領域警備法を制定し、主権防衛を主たる目的とする自衛隊及び海上保安庁に対して、領域警備の任務とそれに必要な武力行使の権限を付与する必要がある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、「領域警備法」を制定し、海上保安庁及び自衛隊に領域警備の任務を課すこと。
二、制定される「領域警備法」に、任務遂行に当たり必要な「武力行使」の権限を明記すること。
三、制定される「領域警備法」に、武力とは「撃沈、撃滅、撃墜を目的とした有形力」であることを明記すること。

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