請願

 

第185回国会 請願の要旨

新件番号 837 件名 特定秘密保護法案に関する請願
要旨  重要なことは、特定秘密保護法案が成立すると、公益通報者がいなくなり、善意の国民が刑事罰として刑務所へ送られることである。現在の公益通報者保護法は実質「公益通報者摘発法」である。特定秘密保護法案が成立すると、公益通報者保護法が行政府(官僚組織)の拡大解釈、拡大運用により「公益通報者刑罰法」になってしまう。平成二十四年六月、原子力基本法に「我が国の安全保障に資する」という目的が追加された。原子力公益通報は、安全保障に資する原子力特定秘密を扱うことになり、特定秘密保護法が成立すると、原子力公益通報は刑罰でがんじがらめとなる。福島原発事故での「福島三号機爆発は使用済燃料プール内での核爆発」「福島一号機では津波以前に地震による配管破断があった」などは、議論するだけで、刑罰対象となることが必至である。今でも東電の証拠隠蔽によって難航している福島原発事故原因究明が、今後は刑罰対象となり、ますます闇の中に入ってしまう。チェルノブイリで教訓を得たように、福島原発事故の影響があらゆる面で顕著になってくるのは、三年後から五年後である。福島原発事故の環境被害や人的被害に対処すべきときが、目前に迫っている。福島原発事故処理の阻害となる秘密は決して許されない。今回の特定秘密とは何を指しているのかが全く不明である。報道機関から喧伝(けんでん)されている「竹島、尖閣諸島等の防衛ラインの情報」を特定秘密としているのなら全く無駄なことである。なぜなら、現在の防衛戦略位置情報は、全てGPSで各国に監視され、最新兵器の情報は、どのような国でも持っている共通の情報でしかない。政府が特定秘密保護法案を成立させようと躍起になっているのは、現行の法制度では秘匿してはいけない秘密が既に現存しているからである。国民に知らしめるわけにはいかない秘密、すなわち安倍政権や自民党が崩壊してしまうような秘密を自民党政府(官僚組織)が既に持っているからである。また、「用済後廃棄」という行政府間会議処理の情報管理方法も問題である。現行の自民党政府(官僚組織)に特定秘密に該当する情報があること自体が問題である。行政府(官僚組織)は、国民に成り代わって行動や活動を行っているのであり、どのようなささいな情報であっても国民に明らかにすべきである。行政府(官僚組織)は、国民の下僕組織であることを肝に銘じていなければならない。情報を秘匿しようとするなら、まずその正当性を証明することが必要であるとツワネ原則では定めている。「始めに知る権利あり」とする国際間の合意事項からも大きく逸脱している。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、特定秘密保護法案を廃案にすること。
二、秘密保護を名目とする情報隠蔽を監視するための機構を設置すること。ただし、監視機構は、行政府(官僚組織)主導の機構でなく、第三者の客観的な判断を下せる機構であること。行政府の行動が日本国民にとって、あるいは世界の人々にとって妥当なものであるかどうかを検証し、国民に報告するための総合的な監視機構とすること。

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