請願

 

第185回国会 請願の要旨

新件番号 310 件名 戦時性的強制被害者問題の解決促進に関する請願
要旨  一九九〇年に戦時性的強制被害者(いわゆる慰安婦)問題が日本の国会(参議院予算委員会)において取り上げられてから、既に二十三年の歳月が経過した。各国、各地で名のり出た高齢の被害者は日本との和解が果たせず、深い悲しみを抱いたまま、無念のうちに他界するケースも急増している。しかし、残された被害女性の謝罪と補償を求める訴えは一層強く続けられており、このことは被害者の尊厳に関わる重大な人権問題であり、その解決は急がれる。日本政府は一九九三年河野洋平官房長官談話で「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と認め「お詫(わ)びと反省の気持ち」を述べたが、それに基づいての真剣な論議は今日もなお、進展をしていない。一方、慰安婦問題をめぐり賠償などを日本政府に求めている韓国を始めとして、二〇〇七年には米国下院が全会一致で日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め謝罪するよう日本政府に求める決議を採択している。その後もオランダ・カナダ・EU二十七か国・フィリピン・韓国・台湾の議会や政府が賠償などを求めている。今年一月、米ニューヨーク州上院は旧日本政府の慰安婦問題について、巻き込まれた女性の尊厳をたたえるという決議を全会一致で採択しており、日本政府の挙動や対応に国際的な注目が集められている。戦時下の性暴力は人道に対する罪として明確な犯罪行為として規定されている。日本政府はこれらの現状を踏まえ、日本軍慰安婦問題の真相を究明し、被害者に対し公式に謝罪をして被害者の尊厳を回復させること、また、国家として被害者に対し、補償をし、慰安婦問題を歴史教科書に記述し事実を伝えること、そして、一日も早く残された被害者が存命のうちに問題の解決がなされるよう、国権の最高機関である立法府の両院に対して、「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」の成立を目指して、真剣かつ、集中的な取組を行うことを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、戦時性的強制被害者問題の解決を促進すること。

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