請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 2111 件名 福島原発事故被害者等に対する放射線被ばくの調査等の実施に関する請願
要旨  東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故から二年が経過した。しかし、政府が二〇一一年十二月に収束宣言をしたものの、実際には当該事故が収束した様子は全くうかがえない。他方で、当該事故による被害者に対する被曝(ひばく)問題及び補償問題は遅々として進まず、いまだ解決していない。このように原子力発電所の事故を処理する能力が政府及び官僚、原子力事業者、電力会社等にないにもかかわらず、昨年六月関西電力大飯原子力発電所が再稼働された。これは国民の生命・身体・財産を危険にさらす行為であり、到底容認できるものではない。また、再稼働は、電力不足ひいては国民生活に支障を来すことを回避すると称して強行されたものであったが、後に関西電力ですら大飯原発の再稼働がなくても電力供給に支障がなかった旨を述べるに至っており、再稼働は全く不要であったことが明らかとなった。加えて、大飯原発付近には連動し得る活断層があることがほぼ確定的であり、運転継続は許されるものではない。さらに、現在大飯原発以外の全ての原発は停止しているが、国内で電力不足が危ぶまれている地域は全くない。これらの事実より、原発は不要なものであるといわざるを得ない。それにもかかわらず、安倍首相は施政方針演説において「安全が確認された原発は再稼働する」と明言するに及んでいるが、福島第一原発事故の検証がいまだ完了しないまま原発の安全性を確立することなどできない。原因究明を果たせないまま示された安全性に信頼性など到底得られない。そして、国民の約八割が原発に反対している以上、安倍首相の演説は民意と乖離(かいり)するものである。本来、政府が多数の民意を反映することが民主主義の本質であるが、これに背くことは民主政治を瓦解する行為であり、直ちに改めなければならない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、福島原発事故被害者及び避難者並びに原発作業者に対し、放射線被曝の調査、健康診断、健康管理を政府の責任で早期に実施すること。

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