請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 2048 件名 社会保障制度改革推進法の廃止に関する請願
要旨  社会保障制度は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の最大限の尊重」をうたった憲法第十三条と、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」及び「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努める国の義務」をうたった憲法第二十五条を、所得再分配の仕組みを通して実現させる制度である。ところが、社会保障制度改革推進法(以下「推進法」という。)は、第一条で「受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図る」と、権利保障のための社会保障給付を受益だとして負担を求め、社会保障の概念をゆがめている。また、第二条で「自立を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援」すると規定して自己責任を押し付ける一方、給付の重点化、運営の効率化の名で給付を引き下げて公費負担を抑制している。あわせて、主要な財源を消費税収入とすることで、応能負担や生計費非課税という財政の原則さえ踏み外している。国は、社会福祉基礎構造改革として、医療・年金・介護・子育てなど社会保障・社会福祉の諸制度を変質させ、憲法第二十五条を空洞化して国民の命を脅かしてきたが、推進法は、そこに法律的裏付けを与えてしまった。それにとどまらず、推進法は国による国民の権利保障や所得再分配機能も否定して、社会保障制度そのものを変質させるものである。日本弁護士連合会の会長声明が「憲法第二十五条に抵触するおそれがある」とするなど憲法に違反した法律である。憲法の理念に基づいて、国の責任で国民の生存権を保障する社会保障制度に転換することを強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、社会保障制度改革推進法を廃止すること。
二、憲法の理念に基づいて、国の責任で国民が安心できる社会保障制度の充実を進めること。

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