請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1461 件名 給付制奨学金の実現と教育無償化に関する請願
要旨  この十年で大学生の生活費は三割減少した。親からの援助が減少する中で、何らかの奨学金を利用する学生が五割を超えている。教育の機会均等を保障する公的奨学金制度は貸与制であり、さらに高額な有利子奨学金が七五%を占め、貸与総額は多い人で一千万円以上になる。一方、大学卒業後、正規の職に就けた者は二十年で二割減少の六〇%で、青年や女性の過半数が非正規労働者となり、国税庁民間給与実態調査によると十四年間に六十万円(一九九七年四百六十七万円→二〇一一年四百七万円)も平均年収が下がっている。低賃金・不安定な雇用が拡大する中で、経済的理由から奨学金を返せない若者や奨学金の返還が不安で進学を諦める生徒・学生が増えている。二〇一二年九月十一日、政府は中等・高等教育無償化の漸進的導入を定めた、国際人権A規約第十三条第二項(b)(c)について、三十年来留保し続けてきた態度を撤回し、日本は教育無償化を進める国となった。同日、経済協力開発機構(OECD)が発表したデータでは、日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出割合は三・六%で、OECD加盟三十一か国(平均五・四%)中、三年連続の最下位であり、特に日本の高等教育は私費負担割合が高過ぎることが指摘されている。教育への公的な投資が有効であることは、高校無償化により経済的理由による高校中退者が、二〇〇九年度の千六百四十七人から二〇一〇年度の千四十三人に減少したことから見ても明らかである。経済格差による教育格差をこれ以上拡大・固定化させないためにも、教育無償化への取組みは急務である。
 ついては、今こそ教育予算を大幅に引き上げ、次の事項について実現を図られたい。

一、高校・大学等に対する返済不要の給付制奨学金を実現すること。
二、公私とも高校は実質無償化に、大学等は学費減免制度の拡充を行うとともに、奨学金は無利子貸与、給付制に移行していくこと。
三、経済的理由による返還猶予期間の五年上限を撤廃し、猶予基準を給与所得で年収三百万円から年収三百三十万円に引き上げること。
四、延滞者の個人信用情報機関への登録制度を中止し、年利一〇%の延滞金を撤廃すること。

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