請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1420 件名 中部地方の国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願
要旨  東日本大震災からの復旧・復興が遅れている中、東海・東南海・南海地震や首都直下型地震等による更なる地震災害の発生が懸念されている。また、近年の気候変動に伴うゲリラ豪雨や台風被害も毎年のように全国各地で発生している。さらに長引くデフレ経済下で、暮らしや雇用も破壊され、国民の願う安全で安心な社会生活が脅かされている。そうした中、現在の都道府県制度をなくし、国の役割を外交・防衛・危機管理・金融などに限定する道州制や地方分権について議論が行われている。しかし道州制は国民の命や暮らしを守る国の責任を地方自治体に転嫁するもので、大都市圏への新たな集権体制を生み、更なる市町村合併により地域間格差の拡大や農山漁村の衰退が進み、住民と行政の距離が遠くなり、福祉や教育等の住民サービスも切り捨てられることが懸念される。地方整備局、経済産業局、労働局などの国の出先機関や国立病院、自動車検査法人などの独立行政法人は防災やインフラの維持・管理、雇用の安定、医療など、国民の生活や安全・安心を守るための様々な行政サービスを行っている。東日本大震災では発災直後から地方整備局が地元建設業者などと一体になって救援ルートの確保に当たり、また経済産業局や労働局などの国の出先機関も全国展開された組織であるメリットを生かし迅速な支援を行った。大規模災害から国民の生命や暮らしを守るには、国が責任を持って対処できる体制が必要だということが東日本大震災からの教訓である。道州制、地方分権に伴い、国の出先機関や独立行政法人の廃止・削減が行われれば、現状でも不十分な災害対応や行政サービスのための体制・機能が更に切り下げられることになる。国民の健康で文化的な最低限度の生活の水準を保障する責任を国が自ら果たし、国民の安全・安心を守るために、国の出先機関や独立行政法人の体制と機能を充実させるよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、憲法が定める国民の生存権の保障は、国自らの責任で果たすこと。
二、国民の安全・安心を守るために、国の出先機関と独立行政法人の体制・機能を充実させること。

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