請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1158 件名 気象事業の整備拡充を求めることに関する請願
要旨  二〇一一年三月に発生した東北地方太平洋沖地震は、津波により東北地方を中心に、北海道から関東沿岸までの広い範囲に壊滅的な被害をもたらし、死者・行方不明者は二万人余りに及んでいる。また、二〇一一年九月に紀伊半島を襲った台風十二号や二〇一二年七月に九州北部を襲った梅雨前線による豪雨、二〇一二年五月につくば市を襲った竜巻など、日本列島は数多くの自然災害に見舞われており、改めて防災体制の拡充・強化が求められている。気象庁の業務は、気象や地震などを常時観測・監視し、その観測成果や現象の推移予測を適時・的確に広く周知することによって、災害を未然に防ぎ軽減させることにある。二〇〇五年神戸市で開かれた国連防災世界会議では、スマトラ沖大地震を教訓に「防災活動は国の第一義的責任において行われるべきもの」(兵庫宣言)と決議されている。こうした中、気象庁は、緊急地震速報、噴火警報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、異常天候早期警戒情報などの発表を新たに始めるとともに、警報や注意報も市町村名で発表するよう改善してきた。一方、職員数や事業予算は毎年減らされており、観測施設の維持管理や技術水準の確保にも苦慮する状況に陥っている。また、予報や防災情報になくてはならない気象衛星の打ち上げにも巨額の費用がかかり、通常予算を圧迫している。過去の自然災害の教訓から、気象庁が責任を果たすためには、警報・注意報などの防災情報の高度化や予報精度の向上だけでは不十分であり、自然現象の確実な捕捉と防災関係機関や地域住民への確実な情報伝達、国民全てに対する知識の普及・啓発活動、子供たちへの防災教育の充実が欠かせない。地域との連携を強めるため地方官署の体制強化を求める。一方、地域の産業や日常生活に役立つ気象情報の提供、国際的に関心を集めている地球環境問題についても、国が責任を持って対処すべきである。兵庫宣言の実現と自然災害による犠牲者ゼロを目指し、気象事業全般の整備・拡充を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国の直接の責任で、より精度の高いきめ細かな防災情報、暮らしや地域産業に密接に関わる気象情報が提供できるよう、気象事業全般の基盤を強化すること。

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