請願

 

第181回国会 請願の要旨

新件番号 40 件名 日本軍慰安婦問題解決の立法を求めることに関する請願
要旨  慰安婦制度は、一九〇七年制定の刑法に違反して実施された。刑法は「帝国外に移送する目的をもって人を売買し、又は被拐取者若しくは被売者を帝国外に移送したる者」を犯罪としていた。また、「醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買禁止ニ関スル国際条約」と「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」にも違反していた。国際法、国内法に違反していることを自覚しながら、国が実施したことを明らかにする文書もある。「内務大臣決裁書類」には、違法を承知で「現地における実情に鑑み、必要やむを得ざるものであり、黙認することとし」(要約)、慰安婦の海外渡航を内務大臣が認め警保局長が全国に指示したことが書かれている。日本政府は、慰安婦問題を日韓請求権協定で解決済みとしているが、その合意議事録を見れば、解決済みとは実態的財産についてであり、違法な慰安婦加害による人権侵害などは、法的にも解決されていないことは明らかである。日韓請求権協定の解釈について、昨年八月の韓国の憲法裁判所決定に基づき韓国政府が日本政府に協議を求めているが、日本政府は応じていない。被害者は高齢であり、多くの方が既にこの世を去っている状況であり一刻も早い解決が求められている。慰安婦被害者が求めていることは、日本政府がその責任を認めて謝罪し賠償することであり、加害の事実認定と真相究明、再発防止のための歴史の継承である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、日本軍「慰安婦」被害者の人権回復のための立法を行うこと。
二、立法に当たっては、その法律に下記の内容を含めること。
 1 日本軍が今次大戦及びそれに至る時期において、直接的あるいは間接的な関与の下に設置運営した「慰安所」等における女性に対する組織的かつ継続的な性的行為の強制が、当時の国際法・国内法に違反する重大な人権侵害であり、女性に対する名誉と尊厳を深く傷つけるものであったことを認め、日本国として被害者に対し謝罪すること。
 2 日本国として上記の責任を明らかにし、被害者の名誉と尊厳の回復のために、賠償を含む措置を採ること。
 3 日本軍「慰安婦」問題のより徹底した全容解明のために、国会あるいは行政府内に調査機関を設けるなど適当な措置を採ること。
 4 政府は、研修、教育、広報等を通じて、この問題の真相が社会に広く定着し、更に広く広がる措置を採ること。

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