請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 2163 件名 放射能を海に流さないこととする法律、放射能海洋放出規制法(仮称)の法律制定に関する請願
要旨  六ヶ所村の核燃料再処理工場は、二〇〇六年三月アクティブ試験を始め、海と空に放射性物質を放出してきた。それ以後、周辺の放射性核種の濃度上昇が検出されている。六ヶ所村尾駮沼河口泥土のヨウ素129は、アクティブ試験開始後二年で約十二倍の値が検出され((財)環境科学技術研究所調査二〇〇八年度報告書)、八戸沖のトリチウムは、自然海水の最大六倍の値が一時検出された(文部科学省・海洋環境放射能評価事業検討委員会二〇〇九年十月発表)。これは津軽暖流に乗って流れてきたと考えられる。今後予定されている本格操業が始まると、更に大量の放射性物質が常時海と空へ放出されることになる。トリチウムやクリプトンは除去装置がなく、全量が放出されるため「原子力発電所の約百八十倍」(二〇〇九年三月政府国会答弁)もの大量の放射性物質が四十年間海に放出され続けることになる。環境基本法第十三条に「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」とあるが、原子力基本法には、放射性物質の放出規制に関する条項が見当たらない。また、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法には全て「放射性物質は適用外」となっている。三陸沿岸の漁業者は、合成洗剤を使わない運動、森への植林など、真剣に海を守ってきた。海を守り、食を守ることこそ国策であるべきで、放射能を規制する法律がないまま、本格操業を許可すべきではない。このままで将来被害が起きたとき、法律を作らなかった国会の責任が問われる。六ヶ所村の再処理工場だけでなく、今後推進される核関連施設についても、環境を守るための法律(環境基本法から放射能部分を外さない法整備)が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、放射能の海と空への放出を規制する法律を制定すること。

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