請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 1324 件名 福島第一原発四号機使用済核燃料プールの破局的崩壊を防ぐ対策の早期実施に関する請願
要旨  四号機の使用済核燃料プールは、地震による崩壊、水漏れ等による冷却機能の喪失、燃料間の不純物の詰まりによる連鎖反応の開始等の危険性を抱えており、もし、大気中で核燃料が燃え出す事態になれば、もはや打つ手はない。現場の作業員も避難するしかないので、福島第一の六基の原子炉、福島第二の四基、女川の三基、東海の一基と再処理工場、さらに六ヶ所村の再処理工場もいずれ暴走を始めることになる。東京電力の工程表では、二〇一三年に燃料棒の取り出しに着手することを目標としているが、活発化している太平洋プレートが日本列島を揺さぶり続けている中、二年も待つことができる保証はない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、四号機プールから核燃料を取り出して安全な場所に移動させること。
   四号機の冷却用プールから燃料棒を取り出し、安全な場所に移す必要があるが、そのためには、まず水素爆発で吹き飛ばされたクレーンを再度設置しなくてはならない。通常では、クレーンを使って、キャスクと呼ばれる鋼鉄製のたるをプールに沈め、水中で燃料棒をキャスクに移し、クレーンでキャスクをつり上げて移動させる。大気中に露出させれば、周りの人が死んでしまうほどの放射線が放出され、燃料棒を覆っているジルコニウムという金属が燃焼する危険もあるため、必ず水中に入った状態を保ちながら移動させなくてはならない。非常に難しい作業であるが、専門家が議論をすればいろいろなアイデアが出てくるはずである。
二、連鎖反応を止めるために、近隣の施設の核燃料を避難させること。
   四号機プールの崩壊によって、近隣の核施設も連鎖的に暴走を始める事態を避けるために、核燃料を遠くに避難させることが必要である。固体の燃料棒については、キャスクに詰めて移動させることができる。プールで数年間冷却した燃料棒は、ドライキャスクという空冷式のキャスクに移して、電源なしで管理することが可能である。原子炉から出して間もない燃料棒は、移動させた後、またプールに入れて冷却を続ける必要がある。再処理工場には管理が難しい液体の放射性廃棄物が保管されている。液体の放射性廃棄物とは、使用済核燃料をウラン、プルトニウム、その他の核廃棄物に分離する工程において、三つ目の「その他の核廃棄物」を集めた液体である。これをガラスと混ぜて、固体化することになっていたが、東海でも六ヶ所村でも、その処理に失敗したために、不安定な液状のままの放射性廃棄物を大量に抱えている。このように、核燃料の避難についても、技術的な困難が存在しているが、固体の燃料棒については、すぐに避難させることが可能である。
三、国内外の英知を結集し、強いリーダーシップの下、解決のためのアクションを早期に開始すること。
   崩壊寸前の四号機プールから、核燃料を安全な場所に移すためには、「アイデア/デザイン」→「製作」→「実行」の各ステップにおいて、最良の知恵と技術を集めなければならない。国内外を問わず、豊富な経験を持つ科学者、企業、軍隊等に対して協力を求め、支援を受け入れるよう求める。今、中規模の地震が四号機を襲えば、そこで全ては終わる。国会議員には、国民の代表者として、この危機を乗り越え、再び未来を手にすることができるように、強いリーダーシップを発揮するよう求める。プロジェクトが速やかに遂行されるよう求める。

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