請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 1040 件名 安易な消費税率引上げ反対に関する請願
要旨  消費税率引上げは、国民生活への甚大な影響並びに、その課税の公平性や根拠からして問題が多い。第一に、この増税によって生活破綻に直面する国民が、より一層増加する危険性が高い。現在、多数の国民が所得減少や雇用状況の悪化による生活苦にあえいでおり、貧困に苦しむ低所得の人も増大していると公にも指摘されている。国民の生活が疲弊の極みにある景気の大低迷期において消費税率を引き上げることは、常識的な経済政策とは言えず、疲弊し切った国民の生活を、特に低所得者の生活を回復不可能なまでに破壊しかねない。第二に、現状での税金の用途と国民意識との間に大きな齟齬(そご)が存在する。外交では、既に先進国に伍(ご)する経済力を身に付けつつある国々に対しての不要不急の政府開発援助(ODA)が膨大に存在するなど、常識的な手順で言えば、消費税率の引上げに先立って歳出削減及び税金の用途転換を検討しなければならない分野が存在している。また国内では、税金の投入諸分野と密接に絡む関係団体や企業に対する官僚の露骨な天下り体質の改善がなされていないため、税金の投入過程における透明性、公平性、効率性すら十分に担保されているとは言い難い。こうした、明らかに国民意識と乖離(かいり)した税金をめぐる政治的状況がいまだ解決されていない以上、苦しい立場に置かれた国民に対し消費税率引上げによってただ負担増を強いるのは、筋の通らない経済政策である。第三に、目先の財源確保の手段として、安易に消費税率引上げが選択されている懸念が十分に払拭できていない。所得税、法人税、相続税等、税には様々な種類があるにもかかわらず、そうした消費税以外の税については十分かつ公平な増税議論がなされないまま、ただ消費税率引上げばかりが政治的に執拗(しつよう)に取り上げられている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、消費税率の引上げによって、生活困窮者の生活破綻を増加させないよう十分な対策を講じること。
二、不要不急の政府開発援助(ODA)の見直しを行い、税金の海外支援用途における無駄を徹底的に削減すること。
三、税金の投入分野における透明性、公平性、効率性の確保を徹底するために、官僚の天下り規制を一層強化すること。
四、消費税以外の税金に関しても、十分かつ公平な増税議論の対象とすること。
五、前項までの要望を実現できないときには、消費税の税率を五%のまま据え置くこと。

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