請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 517 件名 東日本大震災からの復興と建設労働者の労働条件向上等に関する請願
要旨  民主党政権と国会は、国民の生活第一を実現する政策を実行するべきである。建設産業では、建設労働者一人一人の懐をあたため、技術を継承でき、行政責任が果たされる産業をつくらなくてはならない。しかし、建設産業は近い将来に現場の担い手である建設労働者がいなくなるのではないか、という産業そのものが存続の危機を迎えている。これまで、大手中心の建設産業再編淘汰(とうた)、公共事業を始めとした建設投資の減少、建設労働者の劣悪な賃金・労働条件が抜本的に改善されずに若年労働者が建設産業に入ってこない、ということが主たる原因となっている。同時に国・地方の行政が縮小・民間化される動き、地域主権改革による国の出先機関廃止の動きも進められている。そうした状況の下で、昨年三月に発生した東日本大震災の被災地で、地域建設業・行政が救援・復旧活動に昼夜を問わず奮闘したことが広く評価され、その存在が見直されている。安心安全な国づくり・まちづくりの担い手であることを再認識し、建設産業を将来にわたって持続・発展させなければならない。
 ついては、東日本大震災からの復興、現在の建設産業をめぐって、国会が具体化すべき緊急な課題として、次の事項について早急に実現を図られたい。

一、東日本大震災・原発事故からの復旧・復興に関連して
 1 福島第一原子力発電所事故の収束に向けた作業に従事する労働者の放射線被ばくを始めとした労働安全管理を国の責任で行うこと。
 2 被災者支援の観点から、復旧・復興工事等への優先的雇用を確保するとともに、国の責任で公的な震災特別就労事業を創設すること。また、従事する労働者に金額を明示した「適正な賃金」を現金で支払うとともに、適正に支払われたことを確認する監視体制も確立すること。「適正な賃金」は、最低でも公共工事設計労務単価を上回ること。
 3 瓦れきの撤去作業などに当たって、粉じんの発生を抑制する措置を講じるとともに、労働者や地域住民の安全衛生を確保すること。
 4 瓦れき撤去工事や災害復旧工事現場では、様々な雇用形態の労働者が就業していることから、「労災保険」への加入を徹底すること。
 5 東日本大震災を始め、各地で続発する災害から住民を救助するために、災害救助法第二十三条第一項第七号「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与」を適用・運用すること。
二、建設産業の再生に関連して
 1 政府はILO第九十四号条約を早急に批准するとともに、公契約法を制定すること。
 2 建設現場で働く全労働者に建設業退職金共済制度に基づく退職金を保障するため、制度の普及徹底、建退共証紙貼付の確認、証紙の不正流用などの防止策を講じること。
 3 高齢者を差別し、高負担を押し付けている後期高齢者医療制度を即時廃止すること。

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