請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 277 件名 政府に慰安婦問題、韓国人被爆者問題に関する韓国政府との協議を求めることに関する請願
要旨  昨年八月に韓国の憲法裁判所は、日本軍慰安婦問題と韓国人原爆被害者問題について、日韓会談では未解決であり、韓国政府が、日本政府と解決のための協議を行わないのは、国民の人権を守る義務を果たしている韓国憲法に違反するとの決定を下した。これを受けて、韓国外交通商省は昨年九月、日本政府に日韓請求権協定に基づく協議を公式に求めたが、日本政府は、「日韓請求権協定で解決済み」として協議に応じようとしていない。同協定は、被害者が日本国に対して有する賠償請求権が日韓請求権協定第二条第一項(完全かつ最終的に解決)によって消滅したか否かに関する日韓両国間の解釈上の紛争がある場合は、同協定第三条が定めた手続(まず外交上の経路を通じて解決する、それができなかった場合には仲裁委員会をつくる)に沿って解決することとなっている。日韓請求権協定により、韓国人原爆被害者問題、慰安婦問題が解決済みであるか否かについて、両国に解釈上の紛争があることは明らかであり、日本政府は協議に応ずる条約上の義務があり、協議に応じないのは国際法違反に当たる。また、日本国憲法は、第九十八条で条約遵守をうたい、第九十九条で憲法を守る義務を政府に課しており、韓国政府から求められている日韓請求権協定に基づく協議に応じないのは日本の最高法規である憲法にも違反する。また、日韓請求権協定の合意議事録には、「完全かつ最終的に解決されたこととなる…請求権に関する問題」は、韓国側が提出した「韓国の対日請求要綱(いわゆる八項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、したがって、同対日請求要綱に関しては、いかなる主張もなしえないこととなることが確認された」としており、慰安婦問題、被爆者問題は、この八項目に含まれていない。いずれにしても、日韓請求権協定によりこれらの問題が解決したか否かについて、両国政府が、正々堂々と公開の協議を行い、両国国民がこの問題について共通の理解を持つことができるようきちんとした対応を日本政府に要請し、国の最高機関である国会がそのための必要な措置を講じることが必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、政府が、国際条約、日本国憲法を遵守し、日韓請求権協定に基づく韓国政府との協議に応じ問題解決を行うこと。

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