請願

 

第179回国会 請願の要旨

新件番号 545 件名 国家公務員給与の公正な水準確保に関する請願
要旨  九月の人事院勧告に基づかない「国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案」(以下「特例法案」)が提出されている。公務員は、労働者に保障される労働基本権が大きく制約されており、その代償措置の最も重要な部分が人事院勧告であるとされてきた。これまでの判例も「人事院勧告が将来への明確な展望を欠いたまま相当の期間に亘り完全に実施されないような状況に陥った場合には、実際上画餅に等しいとみられる状態になったもの」(全農林人勧凍結反対闘争事件判決)と指摘している。また、国家公務員法第二十八条は、「勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない」とし、いわゆる情勢適応原則を定めており、この原則に基づかない「特例法案」には、人事院の報告(九月)でも懸念が表明されている。さらに、リーマンショック以降、景気低迷が長期化している中、多くの民間労働者の賃金に影響する公務員の給与引下げは、我が国の経済を一層冷え込ませ、震災復興を困難にし、財政赤字を増大させることにもつながりかねない。国家公務員給与の改定に当たり、人事院勧告制度を尊重することは憲法上の要請である。また、国家公務員給与は、地方公務員給与を始め、広範な民間労働者の賃金に直接・間接の影響を及ぼすことから、その大幅な引下げはデフレを一層加速させ、財政赤字の増大にもつながり、震災復興の障害になりかねない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国家公務員給与をめぐる法案の慎重な審議をするとともに、公正な給与水準の確保をすること。

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