請願

 

第179回国会 請願の要旨

新件番号 257 件名 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化に関する請願
要旨  労働力調査(総務省)によると、三月の完全失業率は四・六%、完全失業者数は約三〇四万人で、リーマンショック以降急速に悪化した雇用失業情勢は、依然として深刻な状況が続いている(岩手、宮城、福島県を除く数値)。各種雇用対策が実施され、僅かながら改善傾向が見られてきた中、三月一一日、東日本大震災が発生した。震災と福島第一原子力発電所の事故により、多くの労働者が職場を失い、事業主や農業・漁業従事者も仕事を失った。加えて、東京電力や東北電力による節電要請は、経済活動を一層冷え込ませる。四月の有効求人倍率は、岩手や宮城で急激に低下し、今後、被災地はもとより、全国で雇用失業情勢は更に悪化することが見込まれ、失業中の生活保障や安定した雇用の確保は重要となっている。また、企業活動の休止や縮小を余儀なくされる厳しい経営環境の中、休業手当を支給しながら必死に雇用を維持している経営者も多数に上る。事業主や労働者の相談に適切に対応するとともに、雇用調整助成金等の支給により、企業経営と労働者の生活を支えることも、国の重要な責務である。震災は、かつてない大規模な死亡労働災害をもたらし、いまだ行方不明者も数多く、今後遺族からの労災請求が大規模に寄せられることが見込まれる。被災地域では、瓦れきの撤去を始め、復旧・復興作業における労働者の安全衛生確保も求められている。このように、被災者救済を始めとする、労働行政をめぐる諸問題の解決は喫緊の課題となっており、被災地の労働行政職場では、膨大な行政需要から窓口は混雑を極めている。全国からの応援体制も敷いているが、増え続ける行政需要に応えるには脆弱(ぜいじゃく)な体制であり、四月には、労働行政職員が一三六名削減されるとともに、政府の新規採用抑制方針により、欠員状態も生じている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、リーマンショック以降の不況に加え、震災や節電の影響により、雇用失業情勢は一層深刻化するなど、急増する労働行政に対する需要に適切に対応し、労働者・国民の雇用の確保・安定及び労働条件の適正な確保・向上を図ること。ILO条約や日本国憲法の趣旨にのっとり、労働者・国民のナショナルミニマムを十全に保障するため国の責任を明確にするとともに、職員の増員等によって労働行政体制を整備・強化すること。 
 1 東日本大震災への対応を含め、労働者・国民の権利保障に向けて、国が責任を持って雇用・労働施策を充実させること。 
 2 大幅に増加する行政需要に対応し、労働者・国民の権利保障を図るため、公共職業安定所(ハローワーク)や労働基準監督署、都道府県労働局の体制整備を行うこと。

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