請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 2005 件名 高齢者の居場所をつくり介護制度の抜本的な改善に関する請願
要旨  内閣府が実施する「国民生活に関する世論調査」で、「悩みや不安を感じているのはどのようなことについてですか」の問いに対する答えは、数年連続して「老後の生活設計」がトップであり、高齢者福祉の問題が国民的な関心事であることを示している。これらについて、国が直ちに実行できるのは、介護制度を抜本的に改善することである。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、介護基盤を早急に拡充すること。
 1 介護療養型医療施設廃止は、直ちに撤回すること。
 2 待機者を解消するため、国の低い整備目標を自治体に押し付けず、予算の裏付けで特別養護老人ホームなど多様な施設整備を行うこと。
 3 小規模多機能型居宅介護事業は、立ち上げ・運営に対する財政支援を強めるとともに、利用者が使いやすい基準に改めること。
 4 劣悪サービスや一方的な事業所閉鎖などによる利用者の被害を防ぐため、事前規制を強め悪質な企業の参入を規制すること。
二、在宅で一人でも暮らせる条件整備を進めること。
 1 住まいの近くに気軽に立ち寄れる医療・介護の相談センターを行政の手で整備すること。
 2 地域包括支援センターの機能を抜本的に強化するため、その設置基準を引き上げるとともに、財源を確保し、「地域包括ケア」を公的責任で構築すること。
 3 介護予防など自治体独自の施策が後退しないよう国が助成措置を行うこと。
三、現在の要介護認定システムについては、これを廃止し、要支援者も含めケアマネジャーなど専門職の判断で必要な介護が提供できる制度に改めること。
 1 ケアマネジャーが中立・公正を保持し、専門職として活動できるようその報酬を抜本的に引き上げるとともに、資質向上のための措置を行うこと。
四、良質な介護を可能とする担い手の充実を行うこと。
 1 「介護職員処遇改善交付金」については、事業所で働くあらゆる職種に広げるとともに、恒久化を図ること。
 2 介護報酬とは別枠で、公費投入による介護労働者の大幅賃上げを行うとともに、それが保険料・利用料引上げにならないための財政措置を行うこと。
 3 夜間介護の人員配置基準を改善するとともに、夜間の在宅訪問についても二人体制を基準とすること。
 4 低賃金の非正規雇用でなく常勤正規雇用を基本とする制度改正を行い、抜本的な人材確保策を講じること。
五、経済的理由で介護が受けられない事態を改善すること。
 1 保険料及び利用料の減免制度を拡充すること。
 2 施設での食費・部屋代の自己負担化をやめ、再び保険給付の対象とすること。
 3 介護サービスに掛かる食費・居住費等の軽減措置を行うこと。
六、家族等介護者に対する実態調査を行うとともに、支援体制を充実すること。
七、公的介護の財源は、国庫負担の割合を現行(国負担金二〇%、調整交付金五%)から大幅に引き上げ、国五〇%負担を目指すこと。

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