請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 1170 件名 国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願
要旨  日本は、災害列島と呼ばれ、六、四三四人の尊い生命を奪った阪神大震災を始め、毎年、地震や台風・大雨等により国民の命と財産が犠牲となっている。近年では、地球温暖化が要因と言われるゲリラ豪雨などの異常気象により、土石流や洪水・高潮の被害も頻発しており、大規模地震発生の切迫性とともに、国民の安全と安心にとって脅威となっている。このため、国民の生命と財産を守り、安全で安心して暮らせる住宅などの耐震化を始めとする防災対策や、生活を重視した公共事業への転換が求められている。また、道路・港湾・下水道を始めとする社会資本のストック量は約七五〇兆円と推計され、耐用年数が経過した各施設の更新には年間約二〇兆円の費用が必要とされており、特に、下水道などの生活基盤や道路などの交通基盤の更新・補修は重要であり、安全で安心な生活を確保していくためには、計画的な維持管理を行っていく必要がある。しかし、財政難にある自治体では点検もされずに放置されており、国の支援を早急に講じる必要がある。さらに、建物等の吹付け剤に使用されたアスベスト・粉塵(ふんじん)問題では飛散防止対策や解体・改修現場での早急な施策が求められている。こうした中、災害復旧や施設の維持管理の最前線に立つ建設関連業は、産業自体が消滅しかねない危機に陥っている。長引く不況や公共事業抑制による市場の縮小と「脱談合」を名目とした競争の激化によって、ダンピング受注や下請代金・賃金の切下げ・遅延・不払などが横行し、経営や建設労働者にそのしわ寄せが強いられており、早急な対応策が求められている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、公共事業を防災・生活・環境保全優先に転換すること。
 1 防災、公共住宅や下水道などの生活関連、環境保全等へ公共事業を転換すること。
 2 地球温暖化など環境破壊を防止するため乱開発を規制する法体系の整備や、情報公開及び住民参加による事業決定のシステムを確立すること。
 3 公共工事の監督・検査及び公共施設の維持・管理は国と自治体が責任を持って行うこと。この責任を遂行するために、公共事業発注官公庁及び独立行政法人等の体制を強化し、必要な職員を確保すること。
二、公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保すること。
 1 最低制限価格を設定するなど公共工事・業務委託でダンピング受注を防止する有効な仕組みを作ること。
三、不況対策を早急に実施し、地域業として建設産業の再生を図ること。
 1 橋梁(きょうりょう)、下水道、学校、病院などの公共施設の点検・補修を国の責任で行うこと。 
 2 中小建設・建設関連業が優先的に受注できる施策を実施し、建設産業の再生を図ること。また、各省庁等の発注機関に官公需法を徹底させること。

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