請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 921 件名 公営住宅に関する請願
要旨  (一)公営住宅の入居収入基準は、一九九六年にそのカバー率が二五%(月額所得二〇万円)に引き下げられ、二〇〇九年からはカバー率は変わらないものの、月額所得一五万八千円に引き下げられた結果、公営住宅団地は、超高齢化団地に変貌した。これまで団地の秩序やルールを守り、快適な団地生活を目指し、人々の共生に大きな役割を果たしてきた自治会も、その担い手がいなくなり、自治会の解体と団地コミュニティの崩壊という危機に瀕(ひん)している。入居収入基準を引き上げ、多様な世代が入居できる公営住宅制度を確立する方策以外には、公営団地活性化の活路は見いだすことはできない。(二)地域主権一括法によれば、公営住宅制度の入居収入基準や整備基準等を、国が一定の参酌基準を設定するとしながらも、地方自治体の条例に委任することを打ち出し、公営住宅法第一条では、住宅に困窮する低所得者に健康で文化的な住宅を、国と自治体の責任で整備すると規定されている。これらは憲法第二五条で保障された生存権規定の具体化であり、本来、国民への住宅保障の第一義的責務は国にあると考えられるが、それを地方の条例に委任することは、国の責任を曖昧にし、地方自治体に責任転嫁し、憲法及び公営住宅法の趣旨に反することになる。(三)年収二〇〇万円以下の勤労者や高齢者の低所得者層の異常な増大は社会問題化し、取り分け都市部では、公営住宅の応募倍率を引き上げ、さらにネット難民、ホームレスなどハウジングプアと言われる住宅困窮者も増えている。公営住宅の縮小あるいは不要論が地方主権(分権)改革を主張する行政の側から喧伝(けんでん)されているが、我が国の経済的・社会的状況は、将来世帯数や人口減少が想定されても、それが公営住宅縮小論にイコールになる状況ではない。国民の住要求に応え、全ての低所得者層に、インフラである住宅を的確に保障するためにも、公営住宅の供給を拡大すべきである。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、入居収入基準を引き上げ、各世代の入居で、公営住宅団地の活性化を図ること。
二、国の責任を曖昧にする入居収入基準や整備基準の条例委任はやめること。
三、公営住宅の大量供給で、国民の住まいの安心を確保すること。

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