請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 766 件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
要旨  てんかんは脳の病気で、全国に一〇〇万人の患者がいる。早期診断・早期治療によりおよそ七〇%の人が、発作に悩まされない生活を送ることができるようになったが、誰もが適切な医療を受けているとは限らない。現代の医療では発作の止まらない人はもちろんのこと、発作の止まっている人でさえ、不安・鬱や行動障害などの併発症、医療費や生活の問題、学校や仕事の問題など、様々な悩みをもたらすことがある。その上、世間の誤解や無理解も根強く残っており、てんかんのある人は、人生の多くの場面で、てんかんが障壁となる。政府は、障害者を支援するための新しい制度の検討を行っているが、これまでの制度は、必ずしもてんかんの障害の特徴に合ったものではなく、てんかんのある人にとって使いやすいものではなかった。新たな制度で、同じ国民として安全で安心できる生活が保障されることを求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、てんかんについて、国民の理解を深めるための広報を行うこと。
   てんかんのある人と家族が、社会生活の中で接する機会の多い人々、特に、福祉施設職員、行政担当職員、病院職員、教職員、警察官、救急隊、消防官などに対して、てんかんの正しい知識と介助法を、組織的・計画的に周知徹底すること。
二、専門医療を充実させること。
   専門医の数を増やすこと。合併障害や併発症に十分対応できるよう、診察時間を確保する制度を作ること。てんかんの高度な医療、研究を実践するてんかんセンターを充実すること。
三、障害格差のない選択可能なサービス提供をすること。
   「障害者総合福祉法(仮称)」の制定に当たっては、てんかんの障害特性を反映し、必要なサービスが受けられるようにすること。てんかんの発作があっても、地域で安心して生活でき、日中活動ができるように支援体制を整備すること。
四、働く場の機会拡充を図ること。
   てんかんのある人にも、障害者法定雇用率の完全適用(雇用の義務化)を実現すること。全国の都道府県・市区町村において、てんかんのある人の就労支援の在り方について、十分に検討すること。
五、介助者を含めた交通運賃減免制度を適応すること。
   てんかんのある人が利用できる「障害者手帳」でも、JR、私鉄、バス、航空機、高速道路など、交通運賃の減免制度を適用すること。家族の送迎、同伴に対する交通運賃の減免制度、タクシーチケットの配布などについても、併せて検討すること。

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