請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 557 件名 不妊患者の経済的負担軽減に関する請願
要旨  現在、不妊治療では、人工授精や体外受精など高額な治療の大部分が、健康保険の適用されない自費診療で行われており、患者に大きな経済的負担がのしかかっている。不妊治療はホルモン値を診る血液検査や卵子を確認する超音波などの検査が必須であり、健康保険がきかないものが多く残っている。また、人工授精や体外受精を行うためには排卵誘発剤などの薬剤が必要であり、体外受精の場合では、一周期で、薬剤だけで十数万円掛かるケースも少なくない。そのため一回の施術料だけで数十万円の高額な費用が掛かる上に、検査費用や薬剤費用が加算される。このように、不妊治療は、経済的に大きな負担となっており、治療を続けるために貯蓄を切り崩したり、治療費を捻出できずに子供を諦めるカップルが多数おり、極端な場合は借金までして治療を続けるカップルもある。
 ついては、不妊治療の経済的負担の軽減のため、次の事項について実現を図られたい。

一、特定不妊治療費助成事業より給付される補助金の更なる増額と制度(条件等)を見直すこと。
   公的な支援として二〇〇四年からスタートした特定不妊治療費助成制度は、内容の見直しも進められたが、実際に不妊治療を受けるに当たり十分とは言えず、所得制限の緩和(できれば撤廃)等の適用条件も更なる見直しを求める。近年、不妊患者の年齢は上昇傾向にあり、治療は時間との戦いでもあるが、高額な治療費が原因で治療を受けられないカップルも大勢おり、現在の仕組み(一回一五万円×年二回×五年間)は、使い勝手が良いとは言えない。五年間も治療を続けることの精神的・肉体的負担を考えると、例えば現在の最高支給額の一五〇万円を期間に関係なく、治療費として使用してよいなど、自由に治療ができる環境を整える方が便利である。
二、不妊治療の保険適用範囲を拡大すること。
   不妊治療は、保険適用となっていないため自費診療で、患者の経済的負担が大きい。どの施設で不妊治療を受けても共通であり、施設によって変わることのない薬と検査についての保険適用を求める。不妊治療の中の手技(体外受精や人工授精などに関わる医療的技術)は常に(施設によって)研究がなされ、進歩し、最新の治療を受けることができる。またその部分は、医療施設の個々の努力の差が大きいが、保険適用となってしまうと、金額が一律になり、最新の治療を受ける機会が減ったり、望むレベルの治療(質や技術力の高さなど)を実施する施設がなくなってしまうおそれが出てくるため、不妊治療の全面的な保険適用を求めるものではない。

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