請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 538 件名 最低賃金千円の実現に関する請願
要旨  働く貧困(ワーキングプア)の増加が社会問題となっている。年収二〇〇万円以下の労働者は二〇〇九年には一、〇九九万人と、五年前より一二〇万人も増えており(国税庁調査:民間)、自営業者でも一四%に当たる一七二万世帯が貧困生活を送っているとの推計もある。生活保護受給世帯は一三〇万を超え、貧困は歯止めのない広がりを見せており、そのことが、内需を冷え込ませ、地域の商店街の衰退や中小企業の経営難を招き、失業を増やし、少子化を進め、社会の根幹を揺るがせている。貧困と不況から決別するには、賃金の底上げ政策が不可欠であり、最低賃金の大幅引上げは、消費購買力を向上させ、暮らしの改善と地域経済の活性化をもたらす。このことは労使双方に認識され、二〇一〇年夏には、政府の立会いの下、労働者代表と財界代表が、最低賃金の大幅引上げに合意している。全国の最低賃金を早急に八〇〇円以上とし、さらに一、〇〇〇円への到達を目指すという内容である。日本以外の先進諸国では最低賃金に地域格差を付けず、全国一律で一、〇〇〇円以上の水準に設定することが一般的で、そのことが不況の中での消費の急減を止めている。日本の最低賃金も、そうした制度へと発展させることが望まれるが、最低賃金の引上げによる経済効果が上がるまでのコスト負担が中小企業に及ぼす影響について、十分配慮することも必要である。政府は、中小企業予算の増加と支援策の拡充、公正取引確立に向けた中小下請企業関連の法改正や運用改善を進めるべきである。与野党の各政党が、最低賃金改革を公約に掲げ、「ワーキングプアは放置できない」と明言し、同時に中小企業対策の重要性を指摘している。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金額を速やかに一、〇〇〇円に引き上げること。
二、最低賃金法の改正で、全国一律最低賃金制度を導入し、地域間の最低賃金格差を是正すること。

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