請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 583 件名 介護保険制度の抜本的な改善に関する請願
要旨  介護の社会化を目指し介護保険がスタートして一〇年が経(た)ち、認定者や受給者の数、介護給付費が大幅に増加している一方、利用料など重い費用負担のため、サービスの利用を手控えざるを得ない事態が広がっている。介護予防でサービス利用の回数や日数が減らされ、生活に支障を来している軽度者もたくさんおり、認定制度や介護度ごとに決められたサービスの上限額など、介護保険制度に組み込まれた仕組みが、必要なサービスの利用を困難にしている。特養待機者は四二万に達し、入所一年待ち、二年待ちは当たり前であり、家族の介護負担は一層深刻化し、介護殺人・介護心中と称される痛ましい事件が後を絶たず、ここ数年は年間五〇件以上も起こっている。介護事業所では、介護報酬の三%引上げがあったものの、労働条件の抜本改善や人手不足の解消など介護現場の困難を打開するには程遠い。こうした中、介護保険制度の見直しが実施されようとしている。利用者の負担を増やす、生活援助などの介護サービス利用を制限する、施設の整備を抑制する、保険外サービスを拡大するなどの見直しでは、利用者・高齢者の生活を守り支えることはできない。お金の心配することなく、必要な介護を受けることができる制度への抜本的な改善が必要であると同時に、介護を担うすべての介護職員がその専門性を発揮し、誇りを持って働き続けられる条件整備を一刻も早く実現させなければならない。
 ついては、介護保険の見直しに際し、次の措置を採られたい。

一、利用料、介護保険料を引き上げないこと。住民税非課税者から利用料、介護保険料を徴収しないこと。施設等の居住費・食費は保険給付に戻すこと。
二、現行の要介護認定制度を廃止し、区分支給限度額を撤廃すること。
三、ヘルパーの生活援助を始め軽度者の介護サービスを介護保険から外すことなく、拡充すること。訪問看護やリハビリテーションなどの医療系サービスは医療保険に戻すこと。
四、公的補助を拡充し、特別養護老人ホームなど地域に必要な施設や在宅サービスの整備を強化すること。長期療養を担う介護療養病床の削減計画を撤回すること。
五、介護報酬の引上げ、実効ある処遇改善策により、労働条件の抜本的な改善を図ること。介護報酬引上げの際は、利用者・高齢者の負担増につながらない仕組みをつくること。
六、介護保険財政に対する国庫負担の割合を最低でも五割まで引き上げること。

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