請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 571 件名 水俣病特別措置法によるチッソ分社化撤回に関する請願
要旨  国・熊本県は、二〇〇四年一〇月水俣病関西訴訟最高裁判決において、水俣病事件に関する不作為の不法行為を断罪された加害者であるが、国は、二〇〇九年七月に「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(以下「特措法」)を強行的に立法・施行した。チッソ分社化が実現すれば、少なくとも次の四点で水俣病被害者の権利を剥奪(はくだつ)する。第一は、特措法の住民投票の法理(日本国憲法第九五条)を無視し法定した手続上の問題がある。第二は、チッソと水俣病認定患者との間で協定された補償金制度は「水俣病を発生させ、人間破壊をもたらした事実を率直に認める」「補償を償い続け、将来の健康と生活を保障することに最善の努力を払う」ことが確約された契りであり、「補償給付を支給する義務を免れる」(特措法第一九条第五項)という条文と企業責任をあいまいにする補償賦課金によって消滅させられることは、水俣病認定患者の基本的人権の一つである損害賠償請求権が剥奪される。第三は、法の下の平等が奪われる。国は、不知火海沿岸の実態調査をしないまま給付金の申請期間を三年で打ち切り、水俣病にかかわる新規認定などを終了するとしているが、現在申請したくてもできない人や加齢によって症状が悪化する可能性のある人を、これまで救済された人と全く違う扱いをするものである。第四は、水俣病被害者がチッソを提訴し、裁判を受ける権利が剥奪される。政府は、不知火海沿岸住民と国民の意思を踏まえて、特措法におけるチッソ分社化の実施を中止すべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、特措法によるチッソ分社化に反対する被害者の意見を聴くこと。
二、日本国憲法第九五条(住民投票)を無視し一方的に法定した特措法の無効を直ちに認め実施を中止すること。
三、特措法によるチッソ分社化の再編計画を認めず、分社化の一連の手続を中止すること。 

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