請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 562 件名 EPA・FTA推進路線の見直し、日米FTAの推進反対に関する請願
要旨  FAO(国連食糧農業機関)は先般、飢餓人口が一〇億人を突破したことを公表し、金融危機が途上国を含む多くの国の農業に悪影響を及ぼし、食糧危機は、今後ますます深まるおそれがあると警告している。農水省も、「世界の食料は、穀物等の在庫水準が低く需要がひっ迫した状態が継続する。食料価格は二〇〇六年以前に比べて高い水準で、かつ、上昇傾向で推移する」と分析している(「二〇一八年における食糧需給見通し」)。現に、二〇〇八年の大暴騰以降、下落傾向にあった穀物の国際相場が再高騰の流れにあり、世界の食糧需給は依然としてひっ迫した状況にある。こうした中で明らかなことは、これまでの輸入自由化万能論の立場では、深刻な世界の食糧問題は解決できず、それぞれの国が主要食糧の増産を図り、食料自給率を向上させる以外に打開できないということであり、農産物貿易の全面自由化と生産刺激的な農業補助金の削減・廃止を世界の農業に押し付けたWTO農業協定路線の見直しを求める。また、WTO路線を前提にした二国間・地域間の協定であるEPA・FTA路線も同様に見直されなければならない。前政権は、二〇一〇年に向けたEPA工程表を打ち出し、既にメキシコ、タイ、フィリピンなどとの協定を発効させ、オーストラリア等との交渉を行い、また、民主党は、日米FTA交渉の促進を総選挙マニフェストで打ち出している。日豪、日米のEPA・FTAは、日本農業に壊滅的打撃をもたらす。特に日米FTAについて民主党は、主要農産物を除外するとしているが、相手国のねらいは農産物の関税を撤廃することであり、いったん交渉が始まったら取り返しのつかない事態を招く。今、求められることは、食糧を更に外国に依存する政策と決別し、世界の深刻な食糧需給に正面から向き合い、四〇%程度に過ぎない食料自給率を向上させる方向に踏み出すことである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、これまでのEPA・FTA推進路線を見直し、アメリカとのFTA交渉は行わないこと。

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