請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 560 件名 HTLV―1総合対策に関する請願
要旨  我が国において、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV―1)の感染者(キャリア)は一〇〇万人以上であり、重篤な血液疾患であるATL(成人T細胞性白血病)や、神経の難病であるHAM(HTLV―1関連脊髄(せきずい)症)を発症する。ATLは発症すると致死率は高く、死亡者数は毎年一、〇〇〇人を超え、一向に減少する兆しはない。一方HAMは進行性の脊髄麻痺(まひ)で著しくQOLを阻害する病気であるが、有効な治療薬は見付かっていない。HTLV―1は、縄文時代から主に母子感染により、現代まで引き継がれてきたが、対策を採らなければ感染は広がる一方である。世界では約二千万人以上の感染者がいると推定されているが、先進国の中で感染率が高く、発症者が多いのは日本のみである。肝炎やエイズウイルスは、先進諸国において、その研究や対策に多額の予算が投じられた結果、発症予防・治療法開発が大きく前進したが、HTLV―1に関しては、日本人が率先して疾病対策・研究開発を総合的に行わなければ、解決されない問題である。日本が、先進国として世界のリーダーシップを発揮し、国主導によるHTLV―1総合対策を早急に実現することを求める。 
 ついては、次の措置を採られたい。

一、感染拡大防止対策として、全国一律の妊婦健診での抗体検査実施による母子感染予防、抗体検査の推進及び国民に対する正しい知識の普及と理解の推進、感染予防を徹底すること。 
二、キャリアへの対策として、キャリアのための全国的な診療体制の整備、心のケアを目的とした相談窓口を設置すること。 
三、患者への対策として、全国的な診療体制の整備、ATL患者の医療費軽減や、HAMの特定疾患認定などの患者救済策及び新薬の薬事承認・保険適用等の推進を図ること。 
四、発症予防薬、治療方法に関する研究開発を大幅に推進すること。 

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