請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 1407 件名 国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願
要旨  相次ぐ地震のたびに国民の命と財産が奪われ、道路などのライフラインも被害を受けて、震災後の復興に支障を与えている。また、温暖化による異常気象が原因と考えられる高潮や洪水による被害も頻発し、国民の安全と安心にとって脅威となっている。その上、最近では大規模地震の切迫性の高まりや、ゲリラ豪雨等によって防災機能の充実は急務となっており、公共事業の在り方を防災・生活重視型に転換することが求められている。また、高度成長期に造られた多数の構造物がこれから更新期を迎え、更新や補修などの維持管理が重要な社会問題となっている。特に財政難にある自治体では、点検もされずに放置されており、国の支援を早急に講じる必要がある。さらにアスベスト・粉塵(ふんじん)問題では飛散防止対策や解体・改修現場での早急な施策が求められている。しかし、最前線に立つ建設関連業は、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っており、長引く不況や公共事業抑制による市場の縮小と脱談合を名目とした競争の激化によって、ダンピング受注や下請代金・賃金の切下げ・遅延・不払などが横行し、経営や建設労働者にそのしわ寄せが強いられており、早急な対応策が求められている。
 ついては、このような事態を改善し、国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業を実現するため、次の措置を採られたい。

一、公共事業を防災・生活・環境保全優先に転換すること。
 1 防災、公共住宅や下水道などの生活関連、環境保全等へ公共事業を転換すること。
 2 地球温暖化など環境破壊を防止するため乱開発を規制する法体系の整備や、情報公開及び住民参加による事業決定のシステムを確立すること。
 3 公共工事の監督・検査及び公共施設の維持・管理は国と自治体が責任を持って行うこと。この責任を遂行するために、公共事業発注官公庁及び独立行政法人等の体制を強化し、必要な職員を確保すること。
二、公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保すること。
 1 最低制限価格を設定するなど公共工事・業務委託でダンピング受注を防止する有効な仕組みをつくること。
三、不況対策を早急に実施し、地域業として建設産業の再生を図ること。
 1 橋梁(きょうりょう)、下水道、学校、病院などの公共施設の点検・補修を国の責任で行うこと。
 2 中小建設・建設関連業が優先的に受注できる施策を実施し、建設産業の再生を図ること。また、各省庁等の発注機関に官公需法を徹底させること。

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