請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 1230 件名 教育による貧困・格差の連鎖を断ち切るための中等・高等教育無償化と奨学金の拡充に関する請願
要旨  年収二〇〇万円未満の家庭の四年制大学進学率が二八%、一方で一、二〇〇万円以上の家庭では倍以上の六二%と、高学費の下、親の収入で子供の人生が左右され、格差が親から子供に引き継がれている。政府が高等教育費の財政支出(対GDP比〇・六%、二〇〇五年)を削減し、OECD(経済協力開発機構)加盟国(うち統計掲載国二八か国)平均一・三%の半分以下、加盟国中最下位という教育予算抑制政策から、教育における貧困と格差は生まれた。経済危機が雇用と生活を破壊し、教育費の家計負担は限界になっている。さらに公的奨学金の七四%が負担の大きい有利子貸与で占められていることから、卒業後、安定した雇用が保障されない中で、学生の多くが数百万円の借金を背負うことに不安を感じ、進学をあきらめたり、退学を余儀なくされている。先般の総選挙では教育における貧困と格差の解消が大きな争点となり、すべての政党が教育無償化や奨学金の拡充をマニフェストに掲げた。政府が留保し続けてきた国際人権A規約第一三条第二項(b)(c)の中等・高等教育の漸進的無償化について、留保を撤回し、無償化の方向に踏み出すことを求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、国際人権A規約第一三条第二項(b)(c)の留保を撤回し、中等・高等教育予算を増額すること。
二、国立大学法人運営費交付金・私学助成の拡充により、授業料等減免制度の充実を含め、学費負担の軽減を図ること。公立・私立を問わず高等学校段階の実質無償化を実現すること。
三、無利子奨学金枠を拡充し、経済的困難者向けの給与制奨学金を導入すること。
四、困窮している奨学金返還者への強引な取立てをやめ、個人信用情報機関の活用を中止し、返還猶予制度の年数上限の撤廃・元金と利息分の返還完了者への延滞金減免措置などを行うこと。

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