請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 1191 件名 安心の介護と職員の待遇改善を実現し介護保険制度の抜本的改善に関する請願
要旨  介護保険制度が目指したものは、家族に多大な負担を強いるものではなく、社会の責任において介護を行うという「介護の社会化」であった。この制度に多くの国民が期待を持ち、将来の安心を託したが、改定のたびに増え続ける保険料やサービス利用時の負担が大きいために、保険料の未納者やサービス利用を控える人が増えている。要介護認定制度の改定によって満足なサービスが利用できず、使いづらいものになっている。また、本来、施設でも在宅でも尊厳を持って暮らすことが保障されるべきであるが、特別養護老人ホームの待機者は全国で四二万人を超えて入所はままならず、在宅を選んでも二四時間三六五日の安心のサービス体制が確立しているとは言い難い。そのような下で、不幸な事件が後を絶たない現実は、制度の欠陥以外の何ものでもない。そして、福祉現場では国が定めた職員配置基準が低いために過酷な労働となり、加えて、低賃金構造の下で離職者が増えるなど福祉現場の人員不足が進んでいる。介護保険制度創設一〇年を機に、思い切った見直しと改善こそが急務となっている。すべての国民が安心して老いることができ、介護が必要となっても尊厳を持ち続け、家族の負担を強いるものではない安心の介護とそれを支える福祉職場に従事する職員の待遇改善を求める。
 ついては、次の事項について速やかに実現を図られたい。

一、保険料・利用料の減免制度を拡充し、所得に応じた負担制度に変更すること。少なくとも住民税非課税世帯からの保険料、利用料徴収はしないものとすること。また、住居費・食費の原則本人負担は直ちに廃止すること。
二、要介護認定制度を見直して、専門職の判断によって必要な人に必要なだけのサービスを受けることができるようにすること。
三、待機者をなくすために特養の緊急整備を行うこと。また、セーフティネットとして養護老人ホームの緊急整備を行うこと。施設の建設を進めるために公費による建設補助を四分の三に戻すこと。
四、職員配置基準の改善と専門職にふさわしい身分・給与の改善を行うこと。特別養護老人ホーム・老人保健施設など、施設の介護職員は、少なくとも入所者二人に対して職員を一人以上とすること。すべてのサービスの指定基準内職員は常勤職員とすること。福祉職員の給与を月額四万円以上増額すること。そのために国民負担を増やすことなく思い切った介護給付の底上げを行うこと。
五、以上を実施するため、少なくとも国の負担率を元の五〇%に戻すこと。

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