請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 707 件名 無償教育の実現に関する請願
要旨  国民は、どの子にも十分な教育を求めているが、家計にとって教育費の負担は重荷となっている。経済協力開発機構(OECD)のデータでは、二〇〇六年の日本の教育予算は、国内総生産(GDP)に占める割合は三・三%と、下から二番目である一方、教育支出に占める私費負担の割合は三三・三%で、韓国に次いで高い水準であった。その割合は、大学など高等教育(五一・四%)が突出し、授業料が高く、奨学金などの学生支援が比較的整備されていない国に分類された。一刻も早く、教育予算の水準を先進国の平均であるGDP比五%以上に引き上げ、充実した教育環境を実現することが求められている。日本は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際人権A規約第一三条二項(b)(c)に定めている中等・高等教育への無償教育の漸進的な導入を留保し、国内にこの規定を適用していない。規約を批准している一六〇か国中、留保しているのは、日本とマダガスカルの二か国だけで、この規定留保を撤回し高校・大学を含めた無償教育実現が必要である。また、義務教育においても、憲法に定める義務教育は無償の実態は授業料を徴収しないのみであり、教材費や制服・給食費など教育にかかわる経費負担は多く、各地で未納・滞納問題が顕在化しており、教職員の本来の教育活動へ支障が生じるとともに、子供たちへの心理的悪影響は計り知れない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、国際人権規約第一三条の留保を直ちに撤回し、中等教育・高等教育の漸進的無償化のための具体的措置を採ること。
二、公立高等学校の受験料・入学金・空調使用料などの徴収を廃止し、高校設置自治体に対し、国庫負担により必要額を措置すること。
三、私立高等学校生徒の授業料への助成を増額し、無償化を実現すること。
四、給付制奨学金を創設し、経済的理由で学業を断念することのないようにすること。
五、小・中学校教育予算を増額し、給食費・教材費などの保護者負担を解消するとともに就学援助制度の拡充を図ること。

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