請願

 

第173回国会 請願の要旨

新件番号 605 件名 学生・保護者の教育費負担軽減と私立大学への公費助成増額に関する請願
要旨  私立大学の受験から入学初年度に掛かる費用は、二〇〇万円を超え、大学進学に伴う負担は重くなっている。その結果、経済的な理由で進学を断念する層が数多く存在するだけでなく、入学したものの学費を支払うことができず、退学を余儀なくされる学生も急増している。この要因として、高等教育予算が欧米諸国に比べて低い水準にとどまっている状況がある。一五一か国が批准する国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項に対して、政府は留保し消極的な姿勢を続けてきた結果、世界にも類を見ない高学費を生み出している。また、一九七五年に私立学校振興助成法が成立する際、私立大学における経常費補助を「できるだけ速やかに二分の一とするよう努める」と附帯決議が採択されたが、私大経常費への補助率は一九八〇年度に二九・五%(二、六〇五億円)まで増加したものの、現在は一一・一%(二〇〇七年度)という低い水準に据え置かれている。そのため私立大学の教育・研究条件の改善・充実を進めるためには、学費に依存せざるを得ない。このような状況に加え、国立大学と私立大学に投入される公的財政の金額には大きな格差がある。授業料減免措置等へ補助されている金額を見ると、国立大学には約一七一億円(八七校)が投入される一方、私立大学は約三三億円(五四二校)にとどまるなど大きな開きがあり、財政面での格差是正を図ることも課題である。さらに、急激な経済悪化に伴い学費負担の厳しさが増す下で、各大学では緊急の奨学金対策などを講じているが、高等教育予算の抜本的拡充による対応が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国会の附帯決議にのっとって、一般補助を軸にした私立大学への経常費二分の一補助の実現に努めること。
二、現在の高学費負担を直接的に軽減するような措置(給付制奨学金制度の創設や私学教育費減税の実施など)を講じること。
三、各大学が独自に実施する学費減免、奨学金貸与などの支援が十分に行えるような補助を講じること。
四、無利子奨学金枠の拡大を基本とした奨学金制度の充実・改善を進めること。

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