請願

 

第173回国会 請願の要旨

新件番号 507 件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
要旨  てんかんのある人は一○○人に一人近くいるが、偏見や無理解のために、様々な場面で大きな障壁となっている。多くの人が思春期までに発病することから、進学や就職、結婚などで患者と家族を苦しめている。また、専門医療体制や、自立生活に必要な福祉制度も十分とは言えず、QOL(生活の質)向上の妨げとなっている。
 ついては、早急に次の措置を採られたい。

一、てんかんについて、国民の理解を深めるための広報を行うこと。
 1 新聞、テレビ、インターネット、広報などを活用し、てんかんについての正しい知識を伝えるとともに、「てんかんのバリアフリー宣言」などで社会的無理解、誤解、偏見を払拭(ふっしょく)すること。
 2 てんかんのある人と家族が、社会生活の中で接する機会の多い人々、公務員やサービス業者(警察官、消防官、自治体職員、自衛官、郵便局員、病院職員、銀行員、店員など)に対して、てんかんの正しい知識と介助法を、組織的・計画的に周知徹底すること。
二、全国どこでも同じようにてんかん医療が受けられるようにすること。
 1 てんかんを政策医療として明示し、中核としての「てんかんセンター」を充実すること。
 2 各都道府県に、小児、学齢、青年、成人、高齢とそれぞれの年代に対応したてんかんの医療機関を整備すること。
 3 全国どこでも、二四時間三六五日、対応可能なてんかんの救急医療体制を設けること。
三、地域格差のない選択可能なサービス提供をすること。
 1 てんかんのある人個々人の生活状況に応じて、生活保護、障害年金、各種手帳制度、自立支援医療などの福祉施策が選択できるよう、ガイドライン・最低基準を明記すること。
 2 てんかんの障害特性について、すべての制度で共通の指標を設けること。
 3 てんかんが重複してもサービスを拒否されることのないように、法制度の整備を行うこと。
四、理解とサービスの向上に努めること。
 1 てんかんのある人が、安心して公共交通機関や駅舎を利用できるよう、乗務員、駅員に、てんかんの基礎知識を教える研修を義務付けること。
 2 精神保健福祉手帳による運賃減免制度を拡大するよう、交通事業者への働き掛けを強めること。
五、働く場の機会拡大を図ること。
 1 てんかんのある人については、個々人の職務経験、労働意欲、治療状況などにより、一般企業で働くことが十分可能であること、支援があれば働き続けられることなどを、すべての事業所に対して周知徹底をすること。
 2 ドイツなどで実施しているように、障害者職業能力開発校において、てんかんの障害特性を配慮したカリキュラムを設けるとともに訓練対象枠を拡大すること。
 3 市町村などで実施されている「自立支援協議会」において、てんかんのある人の就労支援についても積極的に取り組むこと。

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