請願

 

第173回国会 請願の要旨

新件番号 320 件名 豊かな私学教育実現を求める私学助成に関する請願
要旨  私学教育の振興は国の重要な責務であるが、骨太の方針では、教育予算減額と私学予算減額が提示されている。三位一体の改革により、地方交付税交付金が削減されたため、一部の都道府県は義務教育への支出削減と並んで私立学校への助成費も削減している。二〇〇八年七月に閣議決定された教育振興基本計画に記されているように、私学助成の充実・改善は、国の責任において、重点的に取り組むべき施策である。高等学校への進学率は九七・八%を超えるが、私立高校の学費は公立高校の三倍以上であり、公私間格差の是正と保護者負担の軽減は、切実な願いである。私立高校に通う生徒は、全国で一○〇万人(全高校生の二九・八%)に達しており、私学に対する国の助成は重要である。教育条件を見ても、一九九三年度以降公立高校で実施されている四○人学級が私立高校では実施できていないところがある。専任の教員数も、公立高校に適用されている標準定数法よりも、全国平均で三一%下回っており、時間講師等の非専任教員が多く、専任教員の増員を求める。少子社会にあっては、子育て支援と並んで幼児教育の改善・充実が一層肝要で、幼稚園の少人数学級の実現が望まれる。二〇〇八年度予算において、高等学校における発達障害支援モデル事業校に指定され、既に発達障害の生徒を受け入れている高校には早急な財政支援と人的支援が必要である。四月より教員免許更新制が施行されているが、教育職員免許法には多くの附帯決議がされ、制度変更によって発生した現職教員の免許更新にかかわる費用は、国が全額負担するのが基本である。高校新卒者の一五・三%が専修学校専門課程(専門学校)で学んでいるが、国の経常費補助はなく、多様な進路を保障し、公平な国費配分からも経常費助成の新設が望まれる。大学生の七三・三%が私立に通っているが、私立大学への経常費補助は、経常経費の一二%で、学生一人当たりの国の教育費負担では、私立は国立の九分の一であり、現在の知識基盤社会では高等教育の充実が求められている。
 ついては、豊かな私学教育の実現のため、次の措置を採られたい。

一、私立学校の保護者負担を軽減するとともに教育条件改善のため私学助成を拡充すること。
 1 私立高等学校の教育条件の維持向上と学費負担の軽減に資するため私立高等学校等経常費助成費等補助金の改善充実の措置を講ずること。
 2 私立高等学校の教育条件の維持向上を図り、公私間格差の是正のため、次の事項の補助を拡充すること。
  (一)きめ細かな学習指導を可能にする少人数授業編制推進のための補助
  (二)専任教諭の配置率向上など標準的な教職員数を確保するための補助
 3 私立高等学校等の防災機能強化施設整備費補助について、現状の補助率を更に引き上げ、生徒の学習環境の安全強化を図ること。
 4 過疎地域の私立高校に対する過疎高等学校特別経費の継続と拡充及び小規模校への助成の拡充を図ること。
 5 保護者の家計急変に伴う授業料減免事業等支援特別経費を継続すること。
 6 私立大学の教育研究の、一層の充実と学費負担の軽減に資するため、私学振興助成法の趣旨に基づき、その経常的経費の二分の一補助達成を目指して、経常費補助の拡充を図ること。
 7 すべての生徒及び学生に対して、実効ある教育の機会均等を実現するため、育英奨学制度の拡充を図ること。育英奨学事業は、無利子貸与制を原則とし、有利子貸与制はその補完措置として、それらの充実改善を図ること。
 8 私立幼稚園におけるティーム保育指導を始めとする、少人数保育を促進し、多様化する幼児教育に対応できるよう補助の拡充を図ること。
 9 私立専修学校教育の振興を図るため、情報処理関係設備及び大型教育装置整備費補助の拡充を図ること。
 10 特別支援教育関係予算において、発達障害を含む障害のある児童・生徒に関する総合的な支援策を講ずること。
 11 教員免許更新講習の受講にかかわる費用等の負担に対して、予算措置を含め有効な策を講ずること。

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